デング熱、「代々木公園」だけでは終わらない 9~10月、「秋の都会」の蚊が危ない!

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ヒトスジシマカは、だいたい11月下旬まで活動するといわれている。いまいましいシーズンが、あと3カ月もあると思うだけで憂鬱だが、白井さん曰く、9月の蚊は越冬卵を産むために活発に吸血しようと動きだす。車や部屋の中まで入ってきて、執拗に迫ってくる。そんな“やる気”に満ちた威勢のいい状態が、8月よりも9月や10月上旬に、多く見られるというのだ。

加えて、デング熱は経済発展が進む東南アジアの都市で感染者が急増中。多くの人が集まる場所で広まる「都市型の感染症」になっている。蚊の季節といえば夏、というイメージを抱く人は少なくないが、晩夏から秋にかけても決して侮れない。

8月よりももっと危ない「秋の都会」をサバイブするために、蚊の生態についても知っておきたい。

ヒトスジシマカは、昼に活発に動く。成虫になってからの寿命は14~40日くらい。ちなみに、夜行性の「アカイエカ」はデングウイルスを媒介しない。

幼虫の発生源から半径50~100メートルが生息範囲とされ、排水に使われる集水升(雨水升)や樹洞(木のくぼみ)にたまった水などで繁殖する。活動範囲は決して広くはないものの、最初の感染確認から10日目での公園閉鎖、加えて樹木が多い場所だけに、ウイルスを保有する蚊の生息範囲は広がってしまった可能性が否めない。

国立感染症研究所ウイルス第一部第2室の高崎智彦室長も、こう説明する。

「8月下旬に散布した殺虫剤を嫌った蚊が、より安全な場所に逃げ込んだのではないかと思います。都は感染者が刺された場所から半径75メートルに散布したようですが、十分ではなかった。もっと広範囲に、半径100メートルに散布すべきだった」

荷物に紛れ込み 蚊が日本に入国

代々木公園の一帯は、北東方面には明治神宮があり、そのすぐ東側にはJR原宿駅、さらに南側はコンサートなどに使われる渋谷公会堂や渋谷区役所があり、NHK放送センターも近い(なお、NHK職員2人にも感染の疑いがある)。つまり、それだけ活発に人が集まり、各地に動く一帯なのだ。

そもそも、なぜ代々木公園だったのか。

「たとえば、海外でウイルスに感染した旅行者が帰国後、ジョギングや散歩のために立ち寄ったかもしれない。園内ではイベントが開かれていることも多いので、海外渡航経験のある参加者がウイルスを持ち込んだ可能性もある」(高崎さん)

確かに、代々木公園では今夏、封鎖の対象外となっている南側エリアで、東南アジアや中南米諸国のイベントが催されていた。現地からの荷物を入れた箱などに蚊が紛れ込むことはありうるのか。

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