デング熱、「代々木公園」だけでは終わらない 9~10月、「秋の都会」の蚊が危ない!
別名は、ブレークボーンフィーバー。
40度前後の高熱に加え、骨が壊れるような激しい痛みを伴うことから、感染症「デング熱」は海外でそう呼ばれている。
耳慣れなかったデング熱の拡散に、普段は閑静な東京都立代々木公園(渋谷区)の周辺が騒然となった。
海外渡航歴がない10代女性がデング熱に感染したと公表されたのは、8月27日。その後、感染者は増え続け、9月5日時点で判明した全国の感染者は60人を超えた。そのほとんどが、8月中旬に代々木公園かその周辺に行っていた。
デングウイルスの“運び屋”は、「ヒトスジシマカ」だ。
東京都が8月26~27日に園内で採取した蚊のサンプル調査では、デングウイルスが陰性だったことから、一部区域の殺虫駆除などの対応にとどまっていた。しかし、9月4日の調査結果では、捕獲した蚊のうち園内4カ所で陽性反応が検出された。その4カ所は近接しているわけではなく、東京ドームおよそ11個分の敷地がある巨大な園内の広範囲に及んだため、都は、公園の8割に当たるエリアを閉鎖。1967年の開園以来、初めての“封鎖”だ。
越冬卵産むため秋は活発に吸血
蚊の専門家で、害虫防除技術研究所の白井良和さんが言う。
「動植物の生態系への影響だけでなく、コスト面などで広大な敷地の全域で殺虫駆除は難しかったと思われますが、本来は早い段階で公園を封鎖して全域で殺虫しなければ、意味がない」
白井さんによれば、蚊は殺虫駆除の当日や翌日はいなくなるものの、3、4日後には再び増え始める。完全な駆除には、都が使用した成虫用だけではなく「幼虫用薬剤」も使わなければ効果が表れにくい。さらに白井さんは、こうも続けた。
「都会に蔓延するヒトスジシマカは、9月に“やる気”が強くなるので要注意です」