デング熱、「代々木公園」だけでは終わらない 9~10月、「秋の都会」の蚊が危ない!
「蚊が1、2日間を生きようとしたら、水が必要です。ただ、7、8時間程度の移動なら、箱の中でも生き残る可能性はあります」(前出の白井さん)
「一昨年と昨年、ヒトスジシマカより感染力が強いネッタイシマカが成田空港で見つかっている。機内のどこかに紛れ込んでいたのでしょう」(高崎さん)
デングウイルスを持つ蚊が所持品に紛れ込んでいた可能性も、確率は低いとはいえ、完全には否定できないのだ。
感染しても発症しないケースが多いので、代々木公園で感染した人が気づかずに地元に帰り、そこで蚊に刺されて感染が広がることも考えられる。実際、東京・新宿中央公園でも感染者が確認された。第2、第3の「代々木公園」が現れる可能性は、十分にある。
東京医科大学病院感染制御部部長の水野泰孝医師によれば、デング熱を発症すると、感染から3~7日の潜伏期間後に、突然40度くらいの高熱を出し、頭や目の奥、体の節々が激しく痛む。インフルエンザに症状が似ているといわれるが、咳や鼻水といった症状がみられない。
発熱は一般に5~6日間続く。また、熱の下がり始めに発疹が出る場合があるのだが、これには注意が必要だ。
「重症型の『デング出血熱』の可能性があり、その場合、鼻血や下血、ショック症状がみられる。感染した人の健康状態や免疫にもよるのですが、デングウイルスに感染した人の1~5%が重症になると報告されています」(水野さん)
突発性発疹との混同に注意して
どんな場合が重症化に至るのか。最も有力な説明が、2度目に感染した場合だ。水野さんが、こう続ける。
「デングウイルスには四つのタイプがあるのですが、1回目と2回目で違うタイプに感染すると、重症化すると言います。ただし、最初の感染で重症化する場合も、再感染でも軽症の場合もあります」
0歳児の場合は、さらに注意が必要だ。デング熱と同じように、解熱後に発疹が現れる経過をたどる「突発性発疹」という病気が広く知られているからだ。
「デング熱の可能性を考えておかないと、見逃す恐れもある。まずは、渡航歴があればデング熱を疑う必要があります」(水野さん)