中国のサービス業の景気回復がスローダウンしている。12月3日に発表された2021年11月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は52.1と、好不況の目安とされる50を3カ月連続で上回ったものの、前月(53.8)より1.7ポイント下落した。
2日前の12月1日に発表された11月の財新製造業PMIは49.9と、前月(50.6)より0.7ポイント下落して3カ月ぶりに目安の50を割り込んだ。製造業とサービス業の景況感がそろって低下したことは、中国の景気全体の減速感が強まっていることを示唆する。
サービス業の需要の動向を示す新規受注指数は、11月も拡大基調を維持したが、上昇幅は過去3カ月で最低だった。調査対象企業からは、中国国内で新型コロナウイルスの局地的流行が反復し、各地で防疫措置が強化されていることが、販売面の打撃になっているとの声が多く聞かれた。
「コロナ後」への期待から雇用は堅調
とはいえ、サービス業の経営者は将来の景気に対する楽観的な見方を崩していない。背景には、コロナ禍は遅かれ早かれ収束するという確信がある。向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、(現時点の景況感を示すPMIが下落したにもかかわらず)11月は前月より若干ながら上昇した。
景気回復への期待感から、サービス業は供給能力の拡大に意欲的であり、新規採用を増やしている。その流れを受け、サービス業の11月の雇用指数は3カ月連続の拡大基調となった。
一方、懸念されるのはサービス業の仕入れ価格と販売価格の動きに乖離が見られることだ。(仕入れ価格の指標である)投入価格指数は、11月は人件費、原材料、エネルギーなどの値上がりを反映して17カ月連続の上昇を記録した。ところが(販売価格の指標である)サービス提供価格指数は、仕入れの値上がりに連動して上昇基調ではあるものの、11月の上げ幅が前月より低下した。
調査対象企業の一部からは、「需要の伸び悩みでサービス業の価格決定力が全体的に低下している」との声も寄せられた。サービス提供価格指数は過去1年にわたって投入価格指数を下回っており、中国のサービス業に生存をかけたプレッシャーがかかり続けている実態を反映している。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は12月3日
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