もし消費税を10%に上げなかったら?

一見いいことづくめだが、本当にできるのか

そもそも、消費税率を予定通りに10%に引き上げないと最終判断する場合、政権としてどのような説明責任が問われるだろうか。根源的には、なぜ消費税率を予定通り引き上げないことにしたのか(つまり、予定通りに引き上げるよりも引き上げない方が国民にとって望ましくなる理由)について、説明責任が問われる。

増税見送りで問われる、政府の「4つの説明責任」

より具体的にいえば、少なくとも以下の4つがあげられる。すなわち、(1)消費税率を予定通りに引き上げないことによって景況の改善が確実に見込めるか、(2)2015年度に国と地方の基礎的財政収支対GDP比を2010年度に比べ半減させる財政健全化目標を安倍内閣として閣議決定しているが、その達成が絶望的になるため、財政健全化目標の修正を正当化できるか、(3)消費税の増税分で実現しようとしていた社会保障給付の充実はご破算となるが、それを代替する対処方針、(4)消費税の増税分の一部(地方消費税)は地方自治体の税収となるが、これがなくなることで生じる地方財政の収支悪化に、国としてどう対処するか。少なくとも、これらを説明できなければならない。

というのも、来年の通常国会には、消費税率を予定通り引き上げないことにする法案(消費税法改正法案)を提出しなければならないからである。今の法律のままなら、予定通り2015年10月に税率を引き上げなければならない。消費税増税反対論者は、無責任でもよかろうが、政権には法改正に伴う説明責任が当然伴う。

消費税率を予定通りに10%に引き上げないとの決定を、11月中旬よりも先にすることは、想定外によほど大きな天変地異でもない限りありえない。安倍首相も7~9月期の経済成長率を見極めると言及している以上、11月17日に発表される予定である7~9月期の経済成長率の1次速報(QE、Quick Estimation)を見てからの判断となる。

11月17日に発表される1次QEにて、7~9月期の経済成長率について問題がなければ、所定の意思決定上の手続きを経て、消費税率を2015年10月に予定通り10%に引き上げるとの最終判断をすることになろう。その場合、予算編成過程からすれば、1次QE発表後できるだけ早く最終判断をした方がよい。

なぜなら、税率引き上げができて初めて予算が付けられるという社会保障関係の経費が数多くあるからだ。年金支給額が少ない高齢者に対して給付を増額する年金生活者支援給付金や、少子化対策の追加予算もその1つである。いくら予算計上するかだけでなく、行政の執行体制も整えなければならず、その準備には相当の時間がかかる。最終判断が遅くなるほど、判断後に最終作業で下働きする官僚(女性官僚を含む)も残業や休日出勤を強いられ、安倍内閣が掲げる「女性の活躍促進」に逆行する。だから、早く最終判断をしないと間に合わなくなる。

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