太朗と出会って、開眼した新聞記者
最後に紹介するのは、現在93歳の石山朔さんが80代のころに描いたもの。横幅3メートルを超える大作だ。
「宇宙さえ感じさせる抽象的な作品です。色の帯は孫の鯉のぼりの吹き流しから着想を得たそうです。プレハブの小屋の中で、指、筆、耳かき、綿棒を使って、原色を虹のように重ねて描いています」
新聞記者だった石山さんは、30歳のとき岡本太郎にインタビューして衝撃を受け、記者をやめて小説家を目指した。やがて絵を描き始める。70代になってから、500号の大きなキャンバスに自由に描くようになった。絵を始めたとき、太郎から、「絵は大きく、キャンバスから飛び出すように」というアドバイスをもらったという。
これらの作品のほか、アンリ・ルソー、山下清、先ほど紹介した工房のほかのメンバーの作品、アフリカの仮面やイスなどが展示されている。
さて、岡本太郎が同じ地平で紹介した作品を並べてみて、どうだったのか?
「表現はみんな違うのに、何か響きあう。アフリカの仮面の隣に『makoot』があっても全然、違和感がない。表現の本質、人間が何を楽しみに生きるのかは、つながっていると感じました」
と仲野さん。太郎は、芸術は人間の根源に根差したエネルギーが生み出すものと考えていた。それを実感できる展覧会だ。
川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
TEL 044-900-9898
9月15日を除く月曜、9月16日、9月24日は休み
一般800円、高大学生と65歳以上600円、中学生以下無料
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