美術品オークションが息を吹き返したワケ 資産効果による買い意欲の回復だけではなかった
「140万円、145万円、150万円、155万円、155万円。よろしいですか、155万円」
ダークスーツに身を包んだオークショニア(競売人)がテンポよく価格を読み上げる。現代美術の人気作家である草間彌生の版画作品『黄色いかぼちゃ』をめぐり、会場の至る所から入札の意思表示であるパドル(番号を記載した札)が上がる。数秒の静寂の後、落札を告げる木づちの音が響いた。
東京・銀座7丁目にある国内最大手、シンワアートオークションの会場。「近代美術パート2」と題されたこの日のオークションには、50代以上の男性を中心に100人以上の客が集まった。同社の石井一輝取締役は「オークション市場は昨年から活気を取り戻しつつある」と語る。
『月刊美術』の清水秀作氏によると、国内美術品オークション市場の平均落札価格(時計、宝飾品などは含まず)は、2003年から07年にかけて上昇したが、リーマンショックをきっかけに急落。09~12年まで低迷が続いた。
だが、市場の持ち直しとともに、落札価格も再上昇。13年の市場全体の平均落札価格は約38万円と、08年以来の水準まで回復した。
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