「大企業は新規事業に向いてない」を覆す条件3選 スタートアップにはできないやり方で成功できる

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事業化を実現している企業は、社員の巻き込み方や全体設計がうまいのだ。たとえば、コンテストでグランプリを受賞した社員には、資金提供や、新規事業開発組織への異動が約束される。つまり、優れたアイデアを出した社員に対しては、「会社のリソースを使って自らの手で実現する機会」が実質的なインセンティブになっている。だからこそ、コンテストにも本気のアイデアをぶつけてくれる。

リクルートの新規事業提案コンテストがうまくいく訳

この仕組みがうまく機能している最たる例は、リクルートだろう。公開されている情報だけでも、新規事業提案コンテスト「Ring」には、毎年多数のリクルート社員がアイデアを提案。最終選考前でも一定の選考を通過した段階で予算をつけてテストマーケティングを行い、担当役員がアイデアのブラッシュアップに伴走するなど、会社も社員のアイデアに対して本気で向き合っていることで有名だ。

「Ring」からはこれまでに『ゼクシィ』『R25』『スタディサプリ』といったサービスが誕生。その実績からみても事業化までのプロセスが、相対的にうまく機能していることがわかる。

当たり前だが、新規事業コンテストは新たなビジネスを生み出す入り口にすぎない。具体的に事業化していく出口までの道のりをどう仕組み化するかが、成否を分ける。さらに言えば、成功企業は仕組みの中で担当社員の本気度や覚悟を醸成していくのがうまい。

たとえば、新規事業のために子会社をつくり、その社長を任せるといった方法もある。“担当者”ではなく“経営者”として事業をつくることで、リスクを取ってでも前に進めなければならないような難しい決断に、覚悟を持って向き合わせるのだ。中には、社長である本人の給料も自分で決めさせるところもある。業績が自分の収入に直結するのというのは、まさしく本気で事業に向き合える環境だといえる。

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