時間ないと嘆く人がわかってない「80:20の法則」 すべての作業が平等に重要なわけではない
パレートの法則はトラブルを減らしたり、困難を乗り越えたりするのにも重要な考え方です。全体の効率を下げてしまう原因の80%が20%の最も面倒な場所から生まれているとわかっているならば、それをあらかじめ想定した計画が可能になります。
『「週4時間」だけ働く。』の著作などで知られ、いまや有名ポッドキャスターのティモシー・フェリス氏は、知らない言語を数カ月で利用可能なところまで学ぶためにパレートの法則を上手に適用しています。
①母国語の英語で最も頻度が高く利用されている単語100個と、対象としている言語の単語をつきあわせてリストを作成する
②その外国語を学ぶ目的にあわせて追加の300~500個の単語を選び、それだけに集中して学ぶ
こうした選択をするだけで、彼はたった2カ月の学習で、日本の道場で柔道を学ぶ場面に特化した日本語を、会話に問題のないところまで学ぶことができました。
一般的な日常会話や日本語で文章を読めるようになるには、さらに4~5年がかかるはずです。しかし目的がはっきりしているのならば、時間の使い方を集中させることで、短時間に大きな成果を挙げられるのです。
「重要なことだけ実行」は言うほど簡単ではない
ここで注意したいのは「重要なことだけを実行する」のは言うほど簡単ではない点です。言語の習得や仕事全般においては、既知の情報や経験から、どこがパレートの法則の80%の価値を生み出している20%なのかを判別できる可能性が高いですが、それ以外の部分では予断は禁物です。
日本ではよく事業分野における予算やリソースの配分について「選択と集中」が語られます。例えば科学研究予算をどう配分するかにおいて、今後大きな成果が見込まれる分野に「選択と集中」を行って短期間で大きなリターンを得ようといった具合です。
この手法は、選択した部分が本当に成長するかどうかにリスクを孕んでいます。成長が見込まれる部分、重要な部分があらかじめわかっているならば選択と集中はうまくいきます。しかし現実には、それは当たりくじだけを選んで買えば損をしないと主張するくらいに、あての外れる考え方といっていいでしょう。
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