1990年代後半から始まった円売り・ドル買いの為替介入は、その後も断続的に続いていた。為替レートは2003年7月頃まで、1ドル=120円程度の水準で推移していた。
03年に日本銀行総裁に就任した福井俊彦氏は、前総裁・速水優氏の「よいデフレ」路線を放棄し、金融緩和を進めた。
03年5月に、それまで安定的に推移していた為替レートに変化が生じた。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長が政策金利の引き下げを示唆すると、アメリカの短期金利低下予測が市場に広まり、円高が進行したのである。1ドル=115円程度になり、10月には110円を超える円高になった。
株価は、それまでも長期的な低落傾向にあり、02年初めには日経平均株価が1万円にまで下落していた。02年の中頃に若干持ち直したものの、円高によって03年3月から4月には8000円を割り込む事態になった。
政府・日銀は、これを危機的な状況と捉えて即座に反応し、為替介入で円高を阻止しようと、03年1月から頻繁なドル買いを開始した。1~3月の介入規模は、2兆3000億円に達した。下図に示すように介入は月を追うごとにエスカレートし、介入規模は前代未聞の大きさにまで膨張していった。