(第23回)米自動車産業の経験は日本に何を教えるか?

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(第23回)米自動車産業の経験は日本に何を教えるか?

「GM(ゼネラル・モーターズ)にとってよいことは、アメリカにとってもよいことだ」

これは、アメリカの自動車メーカーGMの会長兼CEOのチャールズ・ウィルソンが、1952年にアメリカ上院軍事委員会で述べたとされる有名な言葉である(ウィルソンはアイゼンハワー政権の国防長官に任命される際に、所有する巨額のGM株の売却を求められた。そして、「GMの利益に反する決定を国防長官として行わなければならない場合に、そうするか?」との質問に対してYesと答え、さらに、「そうした事態が起こるとは考えられない。なぜなら、アメリカにとって望ましいことはGMにとっても望ましく、また逆も真であるからだ」と述べたのである)。

「特定産業の利益と国全体の利益が合致する」と主張される事態(正確に言えば、その理由によって経済政策の方向が左右されるという事態)は、資本主義経済では、別に珍しいことではない。

19世紀のアメリカでは、大陸横断鉄道を建設する鉄道会社がそうした立場にあった。20世紀に自動車の時代が始まってからは、石油会社の利益がアメリカ全体の利益と合致するとされるようになった。

ガソリンに対してはどこの国も高率のガソリン税を課しているが、アメリカの税率は、極めて低い(ヨーロッパの多くの国の税率が個別間接税だけで40%台であるのに対して、アメリカの税率はわずか17・3%である)。それによって自動車の利用を促進することが目的だ。その状態は、現在に至るまで変わらない。


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