(第23回)米自動車産業の経験は日本に何を教えるか?


 この結果、アメリカの都市は、(ニューヨークを除けば)自動車を使わなければ日常生活が成り立たないような形態になってしまった。住宅地は郊外にスプロールし、高速道路と広大な駐車場の合間にオフィスビルやショッピングセンターが散在するような都市形態だ。第2次大戦以前には、アメリカの都市にも電車があるところが多かった。しかし、戦後のアメリカでは、そうした輸送機関は撤去され、日常的な買い物すら自動車を用いなければできないのが一般的になった。ロスアンジェルスは、そうした都市の典型である。

アメリカでは、都市の構造や日常生活のスタイルまでが、石油会社と自動車会社の利益のために変化してしまったことになる。

しかし、経済条件はいつまでも不変にとどまることはない。ある産業がいかに興隆を誇っても、時代が経てば、新しい工業国が出現し、そこからの輸出がそれまでの独占的な地位を脅かす。また、資源の供給条件やコストも変化する。

政府への依存を強めたアメリカ自動車産業

アメリカの自動車産業についていえば、まず70年代以降の原油価格の高騰が、基本的条件を変えた。そして、「新興工業国」日本から輸出される自動車が、アメリカ市場での比率を高めていった。

こうした変化の影響を最初に受けて経営危機に陥ったのが、ビッグ3の一角を占めるクライスラーだ。ガソリン価格の高騰によって、それまでは意識されなかった燃費が重要視されるようになったが、小型車志向という新しい市場動向に対応できなかった。そして、利幅が大きい大型車の生産拡大を続けた。79年のイラン革命による第2次石油ショックによって問題が拡大し、品質低下による過剰在庫やリコールの多発といった問題がもたらされた。

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