一方で、いよいよ政府が補正予算を決める大詰めの時期を迎えている。岸田文雄内閣においては、従来の「官邸主導」のいきすぎを是正すべく、経済対策の策定においては自民党内の議論を広く反映させている。総選挙で勝たせていただいた関係各位には、しかるべき御礼もしなければならない。
その結果として、財政が「大盤振る舞い」になってしまうのは、「いつか来た道」ではないか。少なくとも「新しい資本主義」ではないだろう。
さらに政府・与党としては、「来年の参議院選挙もよろしくお願いします」というごあいさつも忘れてはならない。総選挙で勝って、参院選も勝ってしまえば、その後3年間は国政選挙がない期間が続く。岸田文雄氏は2024年9月に到来する自民党総裁任期まで、悠々と政権を担える公算が高くなる。
その代わり、一度はひっこめた金融所得課税の問題も、来年度の税制改正ではしっかり俎上にのることだろう。この国の政府は昔からそんなに甘くはない。知らなかったとは言わせませぬぞ。
アメリカではガソリン価格がシャレにならないことに
ところで海の向こう、アメリカではガソリン価格がもっとシャレにならないことになっている。「1ガロン=3ドル」というと、1ガロンは3.7リッターくらいなので、日本に比べればはるかに安い(リッター90円台前半)のだが、それでも、これがクルマ社会のアメリカを直撃している。
ジョー・バイデン大統領は、なんとFTC(連邦取引委員会)に対してガソリン価格の調査を要請した。FTCは日本でいえば公正取引委員会。「鶏を割くに牛刀をもってす」といったところで、たぶんに政治的ジェスチャーなんだろうけれども、現政権の苦しい内部事情が透けて見えてくる。
なにしろ先日は、ABC/ワシントンポスト紙の世論調査で政権支持率が38%となり、とうとう40%を割ってきた。来年の中間選挙を控えて、なんとか党勢の回復を図りたいところ。さもなくば、早すぎる「レームダック」入りとなってしまいそうだ。
しかるに本気でガソリン価格を下げたいのであれば、国内のシェール開発の背中を押せばいいだけの話。ところが民主党内の「環境正義派」がそれを許さない。
化石燃料の開発は「悪」である。したがって、バイデン大統領は石油の戦略備蓄放出を模索したり、中東産油国に増産をお願いしたりしている。しかるに産油国も馬鹿ではない。コロナの感染再拡大もありうるのだから、どうせならこのまま減産を維持して、今の1バレル=80ドル前後の原油価格をなるべく長くエンジョイしたいところであろう。
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