上司との交渉がヘタな人が見落とす「3つの視点」 時間を最も奪う要因は「人」、伝え方のコツは?

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「企画が固まってから初めて相談するケース」と「ラフな案の段階で軽く相談するケース」とでは、なぜ差が出るのでしょうか?どんな上司でも、初めて聞いたことを判断するにはそれなりの時間が必要になりますが、二度目に聞いたことならスピーディーに判断できます。

一度目の軽い相談=「頭出し連絡」のときに聞いた情報が脳にインプットされ、無意識のうちにその是非について考えを巡らせているから、いざ正式に判断を求められたとき、すぐにゴーサインを出したり、「ここはもっとこうしたほうがいい」と具体的な指示を出したりすることができるのです。

価格交渉が遅くなる理由

頭出し連絡による事前インプットは、社内だけではなく外注先やクライアントなど社外の関係者に対しても応用できます。中でも有効なのは「価格交渉」の場面です。クライアントとの交渉で最もかじ取りが難しい「価格交渉」も、あらかじめ相手に情報をインプットしておけば、回答が早まるだけでなく、好意的な回答をもらえる可能性が高まるのです。

たとえば新規のクライアントに商品やサービスの提案をするときは、初回の打ち合わせ時に先方の要望などをヒアリングし、二度目のミーティングで予算の交渉をするというパターンが多いと思います。

この二度目の場でいきなり「前回のご要望をふまえると、予算は200万円になります」と伝えると、相手は反射的に「高い」と感じてしまいます。たとえ妥当な見積もり額だとしても、顧客の頭の中では、価格に対しての身構えができていないので「なんだか高い」と思われてしまう場合が多いのです。

そして、相手が少しでも拒絶反応を示してしまったら最後、三度目、四度目と商談を重ねる事になり、相当な時間を浪費してしまいます。

価格交渉をスムーズに進めたいなら、初回のヒアリング時にざっくりと相手の予算感を聞いておきましょう。そして「150万円から200万円くらいなら出せそう」と言われたら、「では次回までに、そのご予算内で用意してきます」と伝え、次の打ち合わせで200万円のプランを提案します。それなら相手も心構えができているので「高い」とショックを受けることもなく、すぐに納得してもらえるのです。

次ページ一流は「2案」用意し、その場で選ばせる
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