決算書から「優良企業」を見極める確かな方法 株式投資家が注目するべき「最も重要な利益」

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4つめの項目は「販売費及び一般管理費」で、269億6600万円と記載されています。これは略して「販管費」と呼ばれることが多く、製品の製造やサービスの提供に直接関わらない費用のことです。「売上原価は売上に直接関わる費用、販管費は直接関わらない費用」と覚えておくとよいでしょう。

販管費として計上されるのは、テレビCMなどの広告宣伝費や営業促進にかかった費用、企業を運営するための費用などです。企業を運営するための費用とは、本社ビル、営業所などの毎月の賃貸料や光熱費、清掃費などのこと。製品の製造やサービスの提供に直接関わらない、営業や総務、経理などで働いている人たちの人件費も販管費に含まれます。

5つめの項目は「営業利益」で、312億9000万円と記載されています。これは、先ほどの売上総利益から販管費を差し引いたもので(売上総利益-販管費=営業利益)、本業の儲けを表す非常に重要な数字です。もし営業利益がマイナスなら、本業で儲けが出ていないということですから、企業活動に大きな問題があると言えます。営業利益は「本業での実力値」なのです。

日本マクドナルドは黒字ですし、前期よりも営業利益が増えていますので、経営は順調で、売上高営業利益率(営業利益÷売上高)も10%以上と、新型コロナの影響をほとんど受けず、絶好調と言えるでしょう。

本業以外にも「収益」や「費用」がある

ここまでが、その企業の本業でのオペレーションによる収支実績を表す部分です。

一方、企業は本業以外でも収益を上げたり、費用を支払ったりしています。たとえば、預貯金の金利や保有している株の配当などが入ってきますし、逆に借りているお金があれば、その金利を支払わなければなりません。営業利益より下に並んでいる項目と金額は、こうした本業以外で発生した収益、費用、利益(損失)です。

具体的に見ていくと、「営業外収益」は、「受取利息」「受取補償金」「受取保険金」などが並び、「営業外収益合計」として、14億2100万円が計上されています。その次が「営業外費用」で、「支払利息」「貸倒引当金繰入額」「店舗用固定資産除却損」などが並び、「営業外費用合計」として12億8600万円が計上されています。

その下にあるのが「経常利益」で、314億2500万円と記載されています。営業利益に営業外収益を足し合わせ、営業外費用を差し引いたもので(営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益)、「けいつね」とも呼ばれることがあります。経常利益は、本業での利益に、本業以外で経常的に発生する利益(損失)を加えたもので、「経常的な事業活動の結果、生み出された利益」と言えます。

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