新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の業績や従業員の給与にも大きな影響を与えている。そうした中にあると短期的な視点で企業を評価しがちだが、やはり長期的な視点で考えることも重要だ。
今回、東洋経済オンラインでは、長期視点で企業の栄枯盛衰を検討するため、10年前と比較して従業員数も年収も増加させている会社と減少させている会社を集計し、それぞれランキング化した。今回は従業員も年収も増やしている企業ランキングを紹介する。平均年収を増やした金額が多い企業から順に順位づけしている。
データは全上場会社の有価証券報告書(2009年12月~2010年11月期および2019年12月~2020年11月期)に記載されているデータを基に作成。
いずれの時点でも上場していることを条件としたほか、10年間に持ち株会社制に移行すると従業員数や年収に大きな違いが出るために、制度変更のある企業などは集計の対象外とした。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
10年前の平均年収と比較して、上位347社がこの10年で平均年収を100万円以上増加させていた。
1位はヒューリックの961万円
ランキングの1位は、ヒューリック。直近の平均年収は1760万円で、この10年での増加額は961万円。旧富士銀行(現みずほ銀行)が入居するビルの所有から出発した会社だが、2012年、生糸メーカーから不動産事業に転じた昭栄が形式上旧ヒューリックを吸収合併し現社名となった。既存ビルの建て替えと高層化で急成長していて、総合不動産に次ぐ規模まで保有物件を拡大している。
2位はキーエンス。この10年で平均年収は831万円増えた。FA(ファクトリーオートメーション)に関わるセンサーや画像処理システムを手がける同社は、年収ランキング上位の常連企業として知られる。
3位は広島県に本社を置くローツェ。半導体や液晶工場に導入されるウエハー、ガラス基板の搬送装置を製造している。この10年で平均年収は581万円増加した。
トップ10で最も従業員数が多いのは8位のファナック。工作機械用NC装置で世界首位の優良企業として知られる。10年前比で平均年収は402万円、従業員数も1734名増加させた。
年収および従業員数を増加させる上位企業は、他社で代替できないサービスや製品を持つ企業が並んだ。一方、公共事業の拡大もあり、建設業界でも従業員数やその年収を改善させていることが見てとれる結果となった。