東洋経済オンラインでは、長期的な視点で企業の栄枯盛衰を検討するため、『10年間で「年収が抜群に増えた」会社ランキング』を発表した。これに続き、年収も従業員数も減少させた会社のランキングを紹介する。
積極的に従業員数を増加させたため、平均年齢が下がった結果として平均年収が減少して見えることがあるため、年収だけではなく従業員数の減少という条件も算定の基準に加えた。ランキングは年収を減らした金額が多い企業から順に順位づけを行っている。
データは全上場会社の有価証券報告書(2009年12月~2010年11月期および2019年12月~2020年11月期)に記載されているデータを基に作成。
いずれの時点でも上場していることを条件としたほか、10年内に持ち株会社制に移行すると従業員数や年収に大きな違いが出るため、制度変更がある企業は集計の対象外とした。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
10年前比で100万円以上の減収となり、かつ従業員数も減らしている会社は合わせて8社あった。しかし、新型コロナウイルスの影響が深刻になるまでの10年は、景気が上向きだったこともあり、減少傾向の会社は少なかった。
10年で見ると電力会社や地銀の減少が目立つ
平均年収、従業員数ともに減少させた企業のうち、平均年収の減少額が最も大きかったのは、資格取得教育の大手TACだった。10年前比で平均年収が180万円の減少、従業員数は279人減少した。
公認会計士や税理士など財務会計分野の資格取得講座を主力とする。法人からの受講者が安定的な収入源となっているが、最大の売り上げを誇る個人教育分野の成長が鈍化している。業績は横ばいを維持しているものの、10年を通して平均年収は減少傾向が続いた。
2位は、総合アパレル大手の三陽商会で平均年収は150万円の減少となった。人気だったバーバリー社とのライセンス契約が2015年で打ち切られたことの打撃が大きかった。今後、新型コロナによる需要低迷という打撃も受けることになる。
上位の従業員数が多い会社に着目すると、東日本大震災による原発事故後に原子力発電所の再稼働が難しくなっている電力会社や、低金利に苦しむ地銀などがランクインした。