決算書から「優良企業」を見極める確かな方法 株式投資家が注目するべき「最も重要な利益」
利益と名の付くものがいくつもありますが、投資家である株主にとって一番大事なのは、最後の「親会社株主に帰属する当期純利益」です。なぜなら、その金額によって配当が決まり、株価にも大きな影響を与えるからです。もちろん、そこまでの各利益も、親会社株主に帰属する当期純利益に影響を与えるので、大切なことは言うまでもありません。
では、実際の企業の損益計算書を見てみましょう。とりあげるのは、ファーストフードの日本マクドナルドホールディングス(以下、日本マクドナルド)の2020年12月期決算です。
「売上高」は2883億3200万円と記載されています。これは、その会計期間内に商品やサービスを販売した金額です。小売業やサービス業などの一部の業種では「営業収益」と呼ぶこともありますが、要するに「本業で得た売上」が、この一番上の金額で表されています。
日本マクドナルドは、ご存じの通り、ハンバーガーを中心とした飲食業ですから、所有している土地や建物を販売して収入を得たとしても、売上高には計上されません。土地や建物を販売して売上高に計上するのは、不動産業など、それを本業とする企業です。
次の項目は「売上原価」で、2300億7500万円と記載されています。これは、売り上げた商品やサービスに直接かかった費用のことです。日本マクドナルドであれば、牛肉やバンズ、チーズなどのハンバーガーをつくるための原材料費、製造現場や店舗での水道光熱費など、さらには、一般的には製造やお店の運営に関わった人の人件費(労務費)などが、売上原価に含まれます。
売上原価で注意すべき点は、「売れた分だけ計上される」という点です。ハンバーガーをつくるために原材料を大量に仕入れても、売れていない分は売上原価に含まれません。在庫となります。つまり、売上原価と、製造原価や仕入れ原価は、イコールではないのです。つくった分、仕入れた分は、いったん、後述する貸借対照表の「たな卸資産(=在庫)」となり、そのうち、売れた分だけが売上原価となります。
3つめの項目は「売上総利益」で、582億5600万円と記載されています。これは、「売上高-売上原価=売上総利益」で計算され、小売業や卸売業では「粗利」「粗利益」とも呼ばれます。本業の売上から直接得られた利益です。
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