決算書から「優良企業」を見極める確かな方法 株式投資家が注目するべき「最も重要な利益」

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経常利益の下にあるのが、「特別損失」です。これは、この期にだけ発生した特別な損失で、日本マクドナルドの場合は、「固定資産除却損」と「減損損失」があり、「特別損失合計」として8億7000万円が計上されています。日本マクドナルドの損益計算書にはありませんが、この特別損失の上に「特別利益」が記載されているのが一般的です。

経常利益に特別利益を足し、特別損失を引いたものが、「税金等調整前当期純利益」(経常利益+特別利益-特別損失=税金等調整前当期純利益)で、日本マクドナルドの場合、305億5400万円となっています。

「非支配株主」とは何か

さらに、法人税などの税金を調整し、最後に残った利益が「当期純利益」で、201億8600万円が計上されています。

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当期純利益の下に、「親会社株主に帰属する当期純利益」という項目があり、当期純利益と同じ金額が記載されています。「非支配株主に帰属する当期純利益」という項目がある場合には、その金額を差し引いた金額が親会社株主に帰属する当期純利益となるのですが、日本マクドナルドには該当するものがないため、当期純利益と親会社株主に帰属する当期純利益が同額となっています。

日本マクドナルドの株主にとって最も大事な利益が、一番下に記載されている、この利益です。

少しややこしいですが、非支配株主についても簡単に説明しておきましょう。

親会社がもつ子会社の中には、親会社以外の企業や個人が一部の株をもっている子会社があります。この親会社以外の株主を非支配株主と言います。子会社の当期純利益も、損益計算書上、100%合算されますが、その一部は、本来、非支配株主に帰属すべきものです。

非支配株主の分の当期純利益を当期純利益から差し引くことで、親会社株主に帰属する分だけの当期純利益が算出されるというわけです(ちょっとややこしかったですか。難しければ、親会社の株主に帰属する利益が「親会社株主に帰属する当期純利益」とだけ理解してください)。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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