リクルート作った天才「採用狂ぶり」がヤバすぎた 「時価総額13兆円で国内4位」江副浩正のDNA

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就職活動中の3年生、4年生に限らず、「面白い」と思えば1年生、2年生のうちからマークする。あの手この手でリクルートの面接に引っ張り込み、「お前より優秀な人間を連れてこい」が命題であり、優秀な人間を連れてきた社員は社内の評価が上がる。

藤原は自分がリクルートに入ったときもそうだったという。藤原自身、就活のときリクルートに入るつもりはなかったが、スキー場を中心とする一大リゾート地として開発中だった岩手県の安比高原に連れていかれ、リクルーターにこう囁かれた。

「ここ、見渡す限りウチの土地だよ」

ウブな学生はイチコロだ。優秀な学生を虜にするこうした一連の仕掛けを、藤原は「感動ビタミン」と呼ぶ。

「入社2年目のリクルーターが『この会社は俺がいないと始まらない』と言い、課長も部長も『この会社は俺でもっている』と胸を張る。これは面白い会社だぞ、と思いましたね」

リクルートで総務部長、広報部長、常務執行役員などを務めた竹原啓二も「感動ビタミン」に魅せられて入社した1人だ。

「採用狂」江副浩正の3大エピソード

極めつきは江副浩正である。

エピソード1:採用のために「寿司屋の2階を3カ月間」借り切る

リクルートの情報誌ビジネスは創業の頃から大量の学生アルバイトを使っていた。

田中角栄総理を追い詰めたジャーナリストの立花隆も東大生だったころに働いていて、営業成績がさっぱりだった、というのは有名な話である。その立花が書いた週刊誌の記事を見て「彼も立派になってくれてよかった」と江副が喜んだ、という後日談もある。

リクルートの新入社員は出身大学に送り込まれ、ゼミやサークルで「面白いやついない?」と聞いて回る。こうして一目置かれている学生、人望のある学生を見つけ出し、1年生、2年生のうちから接触し続ける。

そして就活の季節になると東大赤門前の寿司屋の2階を3カ月間借り切り「これは」という学生を呼び込むのだ。そこに江副が待ち構えている。江副は学生たちに語りかける。

「君たちはこれまで22年の人生で先人たちが刻んだ歴史を学んできた。でも23歳からは自分で歴史を作るんだ。この会社でなら、それができる。一緒に歴史を作らないか」

超弩級の「感動ビタミン」である。

それは決して口先だけの話ではなく、実際に江副は新入社員が「やりたい」という仕事に予算をつけ、本人を責任者に就けた。

「あの雑誌は俺が立ち上げた」「あの制度は私が提案した」。リクルートで取材をするとほとんどの社員が名刺代わりに自分がつくった「歴史」を披瀝する。私はこれを「あれ俺文化」と呼んでいるが、リクルートの社内用語では「圧倒的当事者意識」と定義されている。

次ページ2つめ、3つめの「採用狂」エピソードは?
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