元日本代表・石川直宏が「農業」にのめり込むワケ サッカーと農業の意外な「共通点」とは何か

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構想が決まってからのふたりは、動きが早かった。

2020年11月に飯綱町を視察し、2021年2月には農地面積や運営形式を決定。「お化けむら」として約5反歩(約50アール)の農地を管理・運営し、その中の約1.4反歩(約14アール)を「NAO's FARM」として稼働させることとなった。

同年4月には準備を行い、5月には農園の稼働を開始。三橋さんは飯綱町に住んでいるが、石川さんはFC東京での活動と並行しながら東京と長野を行き来している。

「農作業だけじゃなくて町全体を回らせてもらいながら、地域の魅力を肌で感じています」(石川さん)

同年7月には、管理農地一帯の初期整備費や農機具の購入費をつのるためにクラウドファンディングを実施。目標額200万円に対して、支援者151人、支援額は約240万円も集まった。

オンライン取材では、PLAYMAKERの代表取締役・三橋亮太さんも「お化けむら」プロジェクトについて語ってくれた(筆者撮影)

「お化けむらの活動理念を理解していただき、関わってくれる支援者の方がどんどん増えていく感覚がありました」(三橋さん)

そして8月末に、冒頭で説明した支援者向けのイベントを開催した。

「クラウドファンディングはあくまで第一歩。ここからどのような展開を皆さんに見せられるのか、ワクワクする気持ちでいっぱいです」(石川さん)

サッカーと農業の共通点とは?

クラウドファンディングも無事終了し、順調にプロジェクトを進める石川さんと三橋さん。とはいえ、ふたりはアスリートに農業を”布教”したいわけではない。2人とも「農業はあくまで選択肢の1つ」と強調する。その真意は?

「競技とは違うコミュニティや刺激があるとリフレッシュになるし、何より活力になる。それが新たな気づきや成長を生み出すきっかけになると思っています。農業は、その”きっかけ”を得られる1つの機会として捉えてほしい」(石川さん)

石川さん自身、農作業と向き合う日々の中で気づいたことがある。それは、サッカーと農業の”共通点”だ。

「矢印を自分に向けて目の前のことに向き合うという部分は、サッカーと農業に通じるものを感じました。例えば雑草を刈るときもサッカーでプレーするときも、余計なことを考えず、その場を良くすることに集中する。その積み重ねです」(石川さん)

しかしどれだけ積み重ねても、その努力が報われるとは限らない。サッカーではケガ、農業では天候によって、それまで順調だったものが一変してしまう。

「農作物は、天候や環境によって一瞬でダメになっちゃうことがある。それはサッカーでケガをして試合に出られなくなるのと似ています。そういうときこそ、自分と向き合うことが大切。ぼくがサッカーと農業に見いだした共通点も、アスリートの人たちにシェアしたいと思っています」(石川さん)

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