元日本代表・石川直宏が「農業」にのめり込むワケ サッカーと農業の意外な「共通点」とは何か
2020年5月、石川さんの発案で「PLAYMAKER」を活用したオンライン勉強会を開催。現役のプロサッカー選手やプロ志望の大学生が参加した。
「その勉強会を通じて、選手たちがコロナ下で競技に向き合うことや今後のキャリアに不安を感じていることがわかりました。想像以上の反響がありましたね」(三橋さん)
勉強会を終えたふたりは、「今回のような活動を、もっと発展させるべきではないか」と考えた。
「勉強会のあと、石川さんから『アスリート同士で横のつながりをつくり、もっとリアルな場で価値観をシェアする。そうすれば、スポーツ界はいろんな豊かさを循環でき、選択肢も増やせるのではないか』と感想をいただいて。それを形にしたいと考えました」(三橋さん)
その価値観を共有する”場”として選んだのが、農業だった。
なぜ農業を選んだのか?
しかしなぜ、農業なのか?
そこには、自然に身を委ねることで自分の素をさらけ出し、本音で語り合えるコミュニティをつくりたいという石川さんと三橋さんの想いがある。
「自然豊かな場所で土に触れ、農作業をしながら過ごすことで、自分自身と向き合う時間を得られる。作業が空いたときには、畑の横でコミュニケーションを取りながら価値観を共有できると思ったんです」(石川さん)
また、三橋さんが、地域振興の一環で農作物の生産・販売を行った経験があることも理由の1つだ。そのノウハウをそのまま、プロジェクトに生かすことができた。
加えて、石川さんの本職である「FC東京クラブコミュニケーター」の活動も影響した。2017年にFC東京で現役を退いた彼は、ファン・サポーターはもちろん、企業、行政など幅広くコミュニケーションを図り、同クラブの発展をサポートしている。
その活動の一環で、2019年に三鷹市の農家と農業体験イベントを行った。そのときに気づいたのが、農業がもたらす”人と人とのつながり”だ。
「イベントでは、農業によってファン・サポーターや地域の人たち、FC東京のスタッフ、選手を交えた新しいコミュニティを作り、地域に還元できることがわかりました」(石川さん)
こうした経験も、石川さんの中で”農業”と”アスリート”を結び付けた。そして、三橋さんとともに考えついたのが「アスリート自らが農作物を育てる農園」だ。
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