元日本代表・石川直宏が「農業」にのめり込むワケ サッカーと農業の意外な「共通点」とは何か
2021年8月末日、元サッカー日本代表の石川直宏さん(40)は長野県上水内郡飯綱町にいた。この日はクラウドファンディングの支援者たちとのイベント。農園で採れたトウモロコシを皆でほうばっていた。
「甘い!おいしい!」
トウモロコシを口にした瞬間、皆一様に笑顔になる。その笑顔を見て、石川さんも自然と顔がほころんだ。支援者が手にしているトウモロコシは、彼が土起こしから収穫まで手がけた自信作だ。
イベント中にトウモロコシの育て方を問われると、石川さんは実の成り立ちから熱心に語り始める。かつてスタジアムを沸かせたスピードスターのその姿に、驚きの目を向ける人もいた。
2000年、横浜 F・マリノスでプロサッカー選手としてデビューした石川さん。2002年にFC東京に移籍すると、2003年に日本代表に初選出。2004年にはアテネ五輪代表としても戦った。2017年に現役引退するまで、日本のトッププレイヤーとして走り続けてきた男である。
そんな彼がいま、長野県で”農場長見習い”をしている。
「化けてみる」プロジェクト
石川さんが手がけているのは、飯綱町にある「NAO's FARM」という農園。アスリートのキャリア開発などを行うPLAYMAKERの農業プロジェクト「お化けむら」の一環で管理・運営をしている。
「お化けむら」は、アスリートなどが地域の地場産業に携わり、これまでと異なるキャリアに「化ける」ためのプロジェクト。発起人は、PLAYMAKERの代表取締役であり、自身もプロサッカー選手としてキャリアを歩んだ三橋亮太さん(34)だ。
「アスリートのように一芸を極めた人たちは、人々に勇気や感動を与え、社会や地域に活力をもたらす存在です。でも、キャリアシフトするときに苦労する人が多い。その理由のひとつとして『ほかの仕事を知る機会が少ない』ことがあげられます。だから、そういう人たちが違うキャリアに『化ける』ことをコンセプトにしました」(三橋さん)
同社では、サッカープレイヤーとクラブチームをつなぐ日本初の会員制ポータルサイト「PLAYMAKER」の運営も行っている。そのサイトに以前から興味を持っていたのが石川さんだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら