飲み会解禁で憂鬱な人も「パワハラと業務」の境目 業務上必要な「接待」であれば残業代が発生する

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従業員が参加する義務がある飲み会が存在することについても触れておきます。

それは、正式な「業務命令」として飲み会への参加を求められた場合です。

例えば、「創立記念日にパーティーを行い企業理念の共有や従業員間の親睦を図る」とか「重要なクライアントの接待を行わなければならない」など、業務上の必要性に起因して飲み会などに参加することを命令されたケースが想定されます。

もちろん、ただ業務命令をされるだけでなく、残業代が支払われ、36協定で定められた時間数の範囲内であることが必要です。仮に、このような場合に残業代が支払われなかった場合は、法的には「未払い残業代」の問題となります。

残業代さえ払えば強制参加にしていい?

逆に、残業代さえ支払えば、無条件に飲み会への強制参加が認められるわけではないことにも注意が必要です。

確かに、会社には従業員に対する幅広い指揮命令権が認められていますので、前述した「創立記念パーティー」や「クライアントの接待」といった比較的フォーマルな場合だけでなく、「部署内の親睦を深める」「退職するメンバーの送別会を行う」といったような、よりカジュアルな場合を含め、残業代が支払われる限り、職場の強制参加の飲み会は、業務の一環として合法となりうる余地があります。

しかし、「当日になって突然飲み会の招集をかける」とか「上司が個人的理由で家に帰りたくないので、部下を巻き込んで飲み会を行う」といったような場合は、指揮命令権の濫用として、たとえ残業代を支払ったとしても法的に強制参加が認められる飲み会とはならないでしょう。

また、飲み会の目的自体は正当であっても、余興を強制されるとか、2次会・3次会まで強制参加が求められるといったような場合は、もはやパワハラであり、正当な業務命令の範囲を逸脱した指示だと考えられますので、従う必要はありません。

なお、育児介護休業法(※)に基づき、所定外労働の免除を受けている場合などは、正当な業務命令に基づく飲み会であっても参加を断ることが可能です。

(※)3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合には、事業主は、その労働者を、所定労働時間(雇用契約で定められた時間帯)を超えて労働させてはならないこととなります。 原則として、3歳までの子を養育するすべての男女労働者が対象となります。

とはいえ、法的な権利があっても、会社から「強制参加」と言われた飲み会を断るのは従業員にとって心理的ハードルが高いものですから、会社側から「育児や介護などで参加が難しい方は申し出てください」とアナウンスをすることが望ましいでしょう。

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