飲み会解禁で憂鬱な人も「パワハラと業務」の境目 業務上必要な「接待」であれば残業代が発生する

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飲み会が少しずつ解禁されていますが、上司からの誘いに困惑する部下も少なくありません(写真:taa/PIXTA)

山形県鶴岡市が10月15日、市職員に対する「飲酒を伴う会食・会合」の自粛から方針転換し、参加を呼びかける文書を発表したことが10月21日付けの「朝日新聞デジタル」で報道され、これに対し賛否が分かれています。

目下、新型コロナウイルスの新規感染者が大幅に減少傾向であることを踏まえ、感染対策をしながら地域経済の活性化を牽引していくことは望ましい、大人数での飲み会解禁は時期尚早であるなど考え方はさまざまあるでしょう。法的にはもちろんのこと、実務的にも白黒をつけることは難しい状況です。

一方で、雇用主である鶴岡市が、職員に対してこのような文書を配布し、飲み会への参加を強く勧奨すること自体について、「パワハラに該当する可能性があるのではないか」という意見もネット上に挙がっています。

飲み会は原則参加する「必要はない」

「職場の飲み会に(事実上含め)意に反して強制参加させられること」は、筆者自身もサラリーマン時代に経験がありますし、少なからずの人が直面する問題なのではないでしょうか。また、コロナの感染状況が落ち着いてきたことで飲み会を解禁する企業も徐々に増え憂鬱な気持ちになっている人もいると思います。

本稿では、法的見地を踏まえた職場の飲み会のあり方について考察をしてみたいと思います。

まず、本稿の論拠の「大前提」として、従業員が職場の飲み会には原則として参加する必要のない法的根拠について説明をします。

この点、従業員は、会社と雇用契約を結んで働いています。雇用契約では、たとえば9:00~18:00(休憩1時間)というように始業終業時刻が定められていますが、会社が従業員に対して「指揮命令権」を有するのは、原則として所定労働時間内のみです。

したがって、会社の指揮命令権の範囲外である定時後に行われる飲み会に対して、会社が従業員に参加を強制できる法的根拠は無く、飲み会に参加する・しないは、従業員の自由なのです。

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