キャンピングカー業界がコロナ特需を喜べない訳 レンタル需要が増えても売上が伸び悩む理由は

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クレソンジャーニー エボライトの外観(筆者撮影)

同社では、現在、できるだけ長期でレンタルしてもらうための施策を行っている。例えば、車両レンタル基本料金の割引制度だ。3日以上借りる場合は10%、7日以上では20%、20日以上なら30%をそれぞれ割引する。また、65歳以上を対象に7日以上で30%、20日以上で50%をそれぞれ割引するシニア特典も実施する。仕事を引退するなどで、旅に比較的時間を費やせる高齢者層の取り込みも目指す。

ただし、武原氏によれば、やはり「インバウンド需要が戻ることが最も売上回復につながる」という。先述のように日本人は夏休みなど利用時期の波が激しく、期間も短い。増えてはいるものの、やはりインバウンドの利益率には及ばない。「日本のお客様が増えていることは素直にうれしい」と語る武原氏。だが、コロナ禍が沈静化し、「訪日外国人の利用客が戻ってきてくれること」にも期待したい。先行きが見えない現状だけに、武原氏の心境は複雑なようだ。

テレワークでのキャンピングカー利用も少ない

ちなみに利用客には、最近、コロナ禍により増えたテレワークの利用客もいるという。エルモンテRVジャパンが所属するインバウンドプラットフォームには、旅行向けポケットWi-Fiのレンタル事業もあることで、キャンピングカーのレンタル客にはポケットWi-Fiを無料で貸し出しているという。だが、テレワーク目的のユーザーはそもそも数が少なく、最近はコロナ禍が一応落ちついてきたこともあり、あまりニーズは増えていないそうだ。そうなると、やはり期待すべきは旅行目的のユーザーをどう増やし、どう利益率を上げていくか。

キャンピングカーは、コロナ禍により、「密」を避けた旅行の移動手段として注目されており、レンタル事業も一見盛況のように見える。だが、その実は、やはりインバウンド需要の復活を期待するという点では、ほかの旅行業に近いようだ。いつ来るかわからないアフターコロナの世界をどう読み、どのような活路を見出すか、業種に限らず、企業の苦悩と戦いはまだまだ続きそうだ。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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