仕事量の多さは、ある程度、勤務状態や勤怠で把握できるものかと思いますので、そうでないのに高ストレス者が上がってくる現場では、何かしら意思疎通の不備や不満、すれ違いが起こっている可能性が大です。その不満がどこで発生しているのか、不満の要因は何かをあぶりだすのに有効です。具体的な原因が見つかれば、それを修正、対応していくことが相互理解を深めることにつながります。
また、単にリサーチするのではなく、従業員エンゲージメントの向上を目的に現状を把握する場合、所属する組織への帰属欲求を丁寧に埋めていく必要があります。
帰属欲求が満たされているかの確認には、実際に業務上で毎日顔合わせたり、接点が多い人物が、面談などを通じて状況把握するのが現実的です。
把握の際に単なるインタビューにならないよう、関わる立場の管理者は質問スキルや傾聴訓練を受けることも大切です。
問いかけの仕方に問題はないか
よく管理者から聞かれる悩みに「部下に話を聞こうと一生懸命問いかけをしているのにまったく返事が返ってこない」というものがあります。
時間もかけ面談の機会を設けているにもかかわらず、話が深まらないどころか広がりもしないというのです。
こうした場合、問いかけの仕方に問題があることも多くあります。
1つには質問の形式がクローズドになっていることです。
質問には大きく分けると2種類あり、オープンクエスチョン(開かれた質問)と、クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)に分けられます。
クローズドクエスチョンとは、イエスかノーで答えられる、もしくは一言で単純に答えられる質問形式を指します。
このような形になりやすく、関係性ができてないとまったく話が深まりません。また質問する主導権が聞き手にあるため、Q&Aの形式になってしまいがちで、場合によっては問い詰められている感じさえしてしまいます。
反対にオープクエスチョンは「〇〇についてどう思う?」「これについて考えを聞かせて」というようにイエスかノーでは答えられない質問形式です。
答えの幅(選択肢)が広がることによって、相手が話しやすい話題を選ぶことができたり、自由度が高まったります。
相手の気持ちや意向を聞くにはオープンクエスチョンを使うことがポイントです。
クローズドクエスチョンを使ってはいけないということでは決してありませんが、相手の意向を話してもらいたいときはオープンクエスチョンを心がけましょう。話をする場を設けて、気持ちを受け止めてくれるというプロセスが、組織に受け入れてもらえているという意識につながり、心理的安全性を生み、組織の一員としての共同体感覚が育まれます。
そうした感覚なしに、単に理念や目標を掲げても、意識改革には到底及びません。従業員の声を聴き、目標までのルートを明確にすることが、企業の成長と発展には欠かせません。
組織と従業員が同じ方向を見据えて、関わっている業務を価値あるものとして自主的に取り組むことで、相互の成長や喜びにつながります。従業員が受け身でなく能動的に動くことにより組織に活気が出てきます。
すると生産性・品質が高くなり、顧客満足度が向上するとともに、業績のアップや離職率軽減にもつながる、プラスのスパイラルが生み出されるのです。そのための制度としては、人事評価のわかりやすさも大切になってきます。
いずれにせよ、本質的な相互理解を目指すことが、「従業員エンゲージメント」を高めるために必須です。組織と従業員の相互が幸せになれる職場づくりの一助となりますように。
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