2016年に発表された、社員のwellbeing(幸福度)を図る国際調査「エデンレッドイプソスバロメータ」でも、日本人会社員の「不幸度」が際立っています。この調査は全世界1万4000人、15カ国を対象に行われ、「10の質問」によって「幸福度」を評価しました。
こちらの調査でも、インドは88%と断トツで、続いてメキシコ(81%)、アメリカ(77%)と続きました。日本は14位のイタリア(63%)をはるかに下回る、44%とぶっちぎりで最下位を確保しています。
10の質問は、「(職場)環境」「(周囲からの)承認」「(個人の)感情」の3つの分野に分かれていましたが、日本の場合、「仕事で何が求められているのかははっきりしている」「同僚などにサポートを期待できる」といった「環境」分野の質問ではスコアが高かった一方で、「毎朝、会社に来るのが楽しみだ」「会社での自分の将来に自信がある」など「感情」分野の質問に対するスコアが非常に低いのが特徴的でした。
主観として、「幸福度」「満足度」が低いということのようです。この調査では、社員の幸福度に最も影響を与える人事施策は「スキルマネジメント」であると結論づけられています。「スキルの継承やアップデート」をコンスタントにしていくことで、「満足度」「幸福度」を高めていけるということ。
しかし、「日本に『本物のリーダー』が絶望的にいない深い訳」でも紹介したように、企業が社員の研修などに拠出する「能力開発費のGDPに占める割合」は、例えばアメリカに比べると20分の1とまさに「雀の涙」。
こうした要因のほかにも、世界の先進国と比べても「絶望的な給与水準」や「低い雇用流動性」など、日本の会社員が不幸である理由はてんこ盛り。一生を同じ会社に捧げる人が多く「忠誠心」があるイメージがありそうなだけに、意外で残念な現状です。
「やる気」に必要な「自律性」「成長」「目的」が持てない
アメリカの作家で、「モチベーション」などの研究で知られるダニエル・ピンクは、「やる気」には3つの要素が欠かせないと言っています。自分の意志でキャリアや課題を決めることのできる「①自律性」、経験を積み、高みを目指す「②成長」、そして、会社や社会への貢献、やりがいといった「③目的」、この3つです。
この3つがそろう人は、仕事にもモチベーションを持てるということなのですが、日本人の場合、「『①自律性』も『②成長』も『③目的』も持てない」という人は少なくないのかもしれません。
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