日本の政治家が社会保障の議論から逃げている訳 負担4割増えるのに選挙の争点にもなっていない

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社会保障給付の将来推計として、内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省が2018年に作成した資料がある(「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」)。

それによると、2018年度から2040年度への変化は、つぎのとおりだ(現状投影ケース)。

・社会保障給付は、121兆円から188.5〜190.3兆円へと1.56倍になる
・社会保障負担は、117.2兆円から185.9〜187.7兆円へと1.59倍になる

今後20年で、1人当たり負担が4割増える

一方、2018年から2040年までの人口の変化は、つぎのとおりだ。

・15~64歳人口は7516万人から59.78万人へと0.795倍になる
・65歳以上人口は、35606万人から39206万人へと1.101倍になる

このように、社会保障給付の増加率56%は、高齢者人口の増加率(10.1%)よりずっと高い値になっている。こうなるのは、物価上昇率と賃金上昇率として高い値が仮定されているからだ。

2028年度以降の賃金上昇率は2.5%だ。この伸び率だと、賃金は22年間で1.4倍となる。

実際の賃金上昇率はほとんどゼロなのだから、ベースラインとしては、ゼロ成長経済の場合を考えなければならないだろう。

そこでGDPに対する比率を見ると、社会保障給付は、2018年度の21.5%から、2040年度の23.8~24.1%へと、10.7%増加する。これが、ゼロ成長経済における増加率と考えることができる。

10.7%という増加率は、65歳以上人口の増加率(10.1%)とほとんど同じだ。

負担は、2018年度の20.8%から、2040年度の23.5~23.7%へと、13.0~13.9%増加する。

負担が1.13倍になれば、1人当たりでは、1.13÷0.795=1.42、つまり42%増になる。

負担が1.139倍になれば、1人当たりでは、1.139÷0.795=1.43、つまり43%増になる。

2000~2019年の増加率に比べれば低いとはいうものの、かなりの増加率だ。賃金が上がらずに負担が増えるのだから、生活水準は低下する。

労働力率を高めれば問題は緩和されるが、問題は残る。

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