これから「人を進化させる新技術」が次々生まれる

白熱対談!未来の人類「ネオ・ヒューマン」の姿

栗栖良依(以下、栗栖):私は、2010年に右ひざ関節に悪性腫瘍ができたために、右足の中身を人工物に置き換えるという手術をしています。

栗栖良依(くりす・よしえ)/パラ・クリエイティブプロデューサー/ディレクター、NPO法人スローレーベル代表。アート、デザイン、エンターテインメントの世界を自由な発想で横断し、人や地域を繋げて新しい価値を創造するプロジェクトを展開。2010年、骨肉腫を患ったことがきっかけで、右下肢機能全廃。障害福祉の世界と出会う。2011年より、SLOW LABELディレクター。2014年よりヨコハマ・パラトリエンナーレ総合ディレクター。2016年にはリオ・パラリンピック旗引き継ぎ式のステージアドバイザーを務める。東京 2020 総合チーム クリエイティブ・ディレクター(撮影:尾形文繁)

個人として、社会にこういった選択肢があるのはいいことだと思います。私が手がけているプロジェクトには、ALS患者の方や、重度の障害で寝たきりの方、移動に困難のある方もいます。テクノロジーによって、そういった方々の社会参加が増えるということは、非常によいことだと思います。

ただ一方で、コロナ禍ではリモートが増えました。移動困難の方々などは、それが便利になったとおっしゃいますが、実は、知的障害など、特に対面が重要だとされる障害の方々にとっては、デジタルテクノロジーへの移行の波についていけず、社会に置いていかれてしまっているという問題も起きています。

どちらも取り残されない社会になるといいなと思いますし、その上で、選択肢もあり、本人が選べる社会であればいいと私は思っています。

変化を恐れ、足を引っ張る存在

長谷川愛(以下、長谷川):テクノロジーについては、科学者の方々は、がんばってくれていて頼もしいと思いますが、受け入れる社会の側が足を引っ張っています。

長谷川愛(はせがわ・あい)/アーティスト。バイオアートやスペキュラティブ・デザイン、デザイン・フィクション等の手法によって、生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフに、現代社会に潜む諸問題を掘り出す作品を発表している。 IAMAS卒業後渡英。2012年英国Royal College of ArtにてMA修士取得。2014年から2016年秋までMIT Media Labにて研究員、MS修士取得。2017年~2020年3月まで東京大学 特任研究員。2019年秋から早稲田大学非常勤講師。2020年から自治医科大学と京都工芸繊維大学にて特任研究員。上海当代艺术馆、森美術館、イスラエルホロンデザインミュージアム、ミラノトリエンナーレ、アルスエレクトロニカ等、国内外で多数展示。イベントにはオンラインで登壇(撮影:尾形文繁)

いろいろな場面で、変わればいいのにと思うことがありますが、「ずっと慣習でやっているし、ステークホルダーもいるので」という理由で変わらない。政治的なところや、権力の話が技術にまとわりついてもいるのだと思います。

変化を止めさせようとする人は、「これをはじめると、こっちが壊れてしまうから」などと言いますが、それは誤解です。勝手にそう思い込んでいるだけで、その思い込みをどう崩していけばいいかを、私も日々考えているところです。

ピーターさんの面白いところは、マイノリティであると同時に、白人の男性で、頭のいいイケメンであり、さらにアッパークラスの出身という、マジョリティど真ん中の人でもあるところです。

それでいて、世界をどう変えればいいのかと考え、実際に変える力もありますし、マイノリティのニーズや、世界を変えたくないと考える人たちがいるということさえも理解しています。その中で、自分が恵まれていることも自覚しつつ、矢面に立って世界を変えていこうとしている。この姿勢が素晴らしくかっこいいなと思いました。

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