これから「人を進化させる新技術」が次々生まれる 白熱対談!未来の人類「ネオ・ヒューマン」の姿
南澤:技術としては、今後いろんなことができるようになりますが、それを1人ひとりが選択するのか、それとも社会として選択するのかで未来の姿は大きく変わります。そこを考えなければならない時に来ていると思います。
100年前なら、こんな議論は必要なかったかもしれません。技術を開発し、こういった議論をする側の人と、その後、長いスパンをかけて実際に技術が開発されて、それを享受して生活する当事者とが、時間的に1、2世代離れていたと思うのです。
ところが、ピーターさんは、ALSを発症して4年、そして本書に書かれているのは最近2年の話です。自分の考えたことを、そのまま自分が享受するという短いスパンになっています。
こういう時代になったからこそ、みんなが当事者になったとも言えるのではないでしょうか。
テクノロジーと倫理観
三木則尚(以下、三木):100年前との違いは、今はコンピュータの性能がすごく進化していることですね。今我々が手にしているスマホは、実は、14年前のスーパーコンピュータと同じ性能なんです。それほど進化している。VRの研究は90年代から、AIの研究は70年代からはじまりましたが、もうここまで進んで実装されているわけです。
アバターや合成音声などはいずれできるでしょうし、それに対しては何も問題ないと思いますが、本書には、健康な臓器も入れ替えてしまうということが書かれています。ここは大きな議論になると思います。
たとえば、アンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝子検査の結果、乳がんになる可能性が非常に高いということで、予防的に乳腺をとり、話題になりました。医療的な診察を受けたわけでもなく、遺伝子検査というものによって、病気でもないのに手術をした。これは大丈夫なのか、という議論です。
同じく、健康な臓器を機械に入れ替えてしまうことは、テクノロジーとしてはありうるけれども、今後実際に誰かがやろうとしたときに、社会から「ダメ」と言われることがあるだろうと思います。
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