「ロビ」生みの親が語る、開発の知られざる裏側 高橋智隆氏に問う日本のロボット普及への道筋

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高橋さんも「現在の『ロボホン』はロボット7割・スマホ3割の製品だが、むしろもっとスマホに近づけたい」と話す。

「スマホは誰もが使っているので、ロボットの機能を少し足したくらいの製品なら、新しいものに抵抗がある人も手に取りやすいはず。そこからスタートして、段々とロボットならではの機能を増やしていけば、その過程でユーザーが新しい遊び方や活用法を生み出しながら、ロボットとの間に愛着や信頼関係を見いだしていけるのではないかと考えています。

こうして丁寧にステップを踏まなければ、保守的な消費者の価値観を変えるのは難しいし、新しいテクノロジーは普及しない。先ほども言ったように、ロボットをロボットとして作り、ロボットとして売ろうとするのは、作り手として強引でずうずうしい行為に思えます」

つまり、ロボットを普及させるには、「マーケティング的な発想が必要不可欠なのだ」と高橋さんは言う。

『ルンバ』ヒットの裏にマーケティング戦略

マーケティング的な発想でロボットの普及に成功した最たる事例といえば、ロボット掃除機『ルンバ』だ。この製品は、まさに「丁寧なステップ」を踏んで市場を拡大した好例と言える。

「ルンバは2002年に米国で発売されましたが、同時期に日本の家電メーカーも掃除機ロボットを開発していました。その中でなぜルンバだけが成功したか。それを最初のモデルを“おもちゃ”として売り出したからです。機能を最小限にして値段も格安に設定し、おもちゃ屋に並べ、クリスマス商戦で大ヒットしました。

大半の人はちょっとした話題のネタとしてお遊び感覚で購入したので、性能には期待していなかった。ところが使ってみると、掃除機としてもちゃんと役に立つ。こうして人々に『ロボット掃除機って便利かも』と思わせてから、10万円以上する本格的な製品を売り出した。非常に賢い戦略です」

(写真:エンジニアtype編集部)

ロボットではないが、テスラも電気自動車を普及させるために、同様のマーケティング戦略を取ったことで知られる。同社が初めて生産した電気自動車は、イギリスの自動車メーカーが作った車体や部品を流用し、パソコン用のリチウムイオン電池をバッテリーとして搭載することで、スポーツカーとしては格安の1200万円ほどで売り出すことに成功した。

これが新しいもの好きで知的好奇心が旺盛なアメリカのセレブたちに刺さり、順調な売り上げを達成。この製品で稼いだ資金を元手に、今度は4ドアセダンの電気自動車を開発し、着々と市場を拡大していったのだ。

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