飼い猫の1日の行動を首輪で追跡「Catlog」の凄み 犬に比べると「猫は健康管理が難しい動物」

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同社の商品やサービスはトータルで猫の排泄、運動、栄養面を見守ることができ、病気などを早期発見しやすくなる。

Catlogのスマホ画面。飼い猫の現在の様子がわかるほか、1日の行動をチェックできる。体調などの変化に気づきやすくなる(画像:RABO)

同社では商品開発や商品訴求において約60件の動物病院の協力を得ているというが、そうした獣医師からも「こういう商品を待っていた」という声が寄せられているそうだ。

さらに特徴的なのが、実際に猫の行動を読み取り、それをもとに猫の気持ちになって開発されている点だ。

猫は人間の思惑とは異なる行動ばかりをとるように見える。喜ぶ猫の姿を想像しつつ大枚はたいて準備しても、猫は見向きもしない……などは本当によくあることだ。

しかし同社の商品はその点で異なっている。 “猫はお客様でありユーザー”という基本姿勢のもと、猫を中心に商品を開発しているためだ。猫を話題にするときは“猫様”と表現するゆえんだ。

軽量で安全な首輪型センサー

Catlogで言えば、まずデバイス、つまり首輪型センサーの開発において、その姿勢が試された。猫からすれば重くて行動の妨げとなる首輪は苦痛でしかない。いやがらずつけてもらうために、その形状には苦心を重ねた。

RABO社長の伊豫愉芸子氏。大学院で海洋生物などの行動を追跡するバイオロギングを研究後、リクルートでサービス開発などを10年担当。この2つの経歴を活用してRABOを立ち上げた(撮影:梅谷秀司)

伊豫氏手ずから粘土をこねて模型を作り、飼い猫でありCCO(Chief Cat Officer)のブリ丸に使用感を確認してもらうという過程を繰り返した。

結果としてできあがったのが、10円玉2枚にも満たない(もっとも重いものでも約9g)軽量、かつ、ヒゲにあたらないよう工夫された形状の首輪だ。音に敏感な猫のための静音設計で、一定の加重がかかるとベルトが外れる仕組みになっている。どこかにひっかかって口にはまる、首が絞まるなどの事故を防ぐ工夫だ。

Catlogは同社がスタートした2018年の10月にクラウドファンディングサイトMakuakeにて発表したが、予約開始直後、1時間で完売。最終的な応援購買金額は457万1600円と、当初目標金額の150%に達したそうだ。

購入者からも「これまで首輪が苦手だったのにCatlogは大丈夫だった」という声や、首輪を外すと「返してくれ」と要求したというエピソードが寄せられている。お気に入りの服のような感覚なのであろうか。

もし首輪に慣らさせられるか心配な場合でも、購入前に1週間の試用ができるそうだ。

【2021年10月22日15時00分追記】 記事初出時、試用期間に誤りがあったため上記のように修正しました。

2020年10月に発売したCatlog Boardについては、“猫がいやがらない”という利点が飼い主にとってよりわかりやすくキャッチーだったようだ。予約開始後6分で初期ロットが完売、応援購入総額は1549万円で、達成率は5163%に至った。

これまでも尿量やその頻度で体調管理をする商品は販売されているが、ネックとなっていたのが、専用のトイレを購入しなければならないことだった。

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