飼い猫の1日の行動を首輪で追跡「Catlog」の凄み

犬に比べると「猫は健康管理が難しい動物」

猫のトイレは本体の形状、猫砂の素材、その組み合わせなど、猫の繊細な好みが表れる用具である。最適なものを見つけるまでに何種類も試さなければならず、少しでも環境が変わると、排泄に支障を来すようになってしまうこともある。猫の健康のためだからと言っても、トイレを変えて果たして使ってくれるものか心配で、なかなか購入に踏み切れない、という飼い主は多いだろう。

その点、既存のトイレで使えるということが、飼い主にとっても大きなメリットと感じられたのだろう。

Catlog Boardは多頭飼いでも、複数の猫が1つのトイレを共有している場合ならデバイスは1台でOK。体重の違いなどで個々の猫を認識できるためだ。なお、Catlogは「多頭飼い割引」があるのだが、こちらについては正規料金×デバイスの台数となっている。

猫にまつわる福利厚生

このように、開発ではブリ丸をはじめ複数の猫モニターに使用してもらう。また猫のための商品づくりを支えるのが、「CS(キャットスペシャリスト)」という専門の担当だ。

客からの問い合わせに対応するほか、商品開発にも参画して客の声を活かす役割を担う、特別な職務である。同社では猫同伴OK、子猫を引き取ったときの最長1カ月のリモートワーク制度、ペットの忌引きなど、猫やペットにまつわる各種優遇制度があるものの、猫を飼うかどうかはスタッフの自由。ただ唯一、キャットスペシャリストのみは猫を飼っていることが職務に就く条件となっているそうだ。

以上説明してきたように、何よりも“猫の立場”に立って開発された同社の商品。猫飼い同士の強力な口コミであっという間に情報が拡散され、確固としたブランド力を持つに至っている。販売チャネルとしては当初のMakuake以降は公式サイト、通販サイトなどだが、公式サイトを通じての購入が圧倒的に多いとのことだ。

今後の活動について、伊豫氏は次のように述べている。

「データを使った、パーソナライズされたモノづくりはこれからも広がっていくビジネス領域だと感じています。その中でもペット市場は盛り上がりを見せていて、アマゾンなどグローバル企業が多数参入してきています。そうした流れを横目で見ながら、当社は猫の分野でリードする存在でありたいと思っています」(伊豫氏)

猫飼い心をくすぐる各種サービスもブランド力を高めている理由の1つ。商品は同社オリジナルのスタイリッシュな箱で届くほか、さらにCatlog Boardの包材は爪研ぎが作れる工作キットになっている(撮影:梅谷秀司)

2022年1月のCESショーを機に、海外への展開も開始していく予定。また将来的には、かかりつけ獣医が患者となる猫のデータを受診前に共有できるなど、獣医と連携する仕組みも取り入れていきたいという。

フードテック、フェムテックなど、その対象に応じたテクノロジーが注目されている。新たな分野である“キャットテック”において、同社が先端を走る企業であることは間違いない。

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