ところでホンダは過去50年にわたり、人を守る先進安全技術の開発に積極的だ。1971年にはエアバッグの研究を開始するとともに、現在のHonda SENSINGにつながるレーダーセンサー技術の開発もスタートさせている。
そして2021年3月には、自動運転と公式に、かつ世界で名乗れる「自動化レベル3」技術を含むHonda SENSING Eliteを同社のフラッグシップセダン「レジェンド」に搭載して発売した。
このニュースは世界の自動車メーカー担当者を驚かせた。同時に、レベル3を実装(市販車へ装備)する目的を、「交通事故ゼロ社会と、すべての人への移動の自由を実現するきっかけになる」と定義し、ホンダは長い時間を費やし全力で国のあらゆる機関に働きかけた。
交渉と調整の結果、道路交通法や道路運送車両法など法律が改正され、金融庁管轄である保険制度も整えられてレベル3の販売が可能となり、公道で使用できることになったのだ。
新型シビックにはレベル3の自動運転技術は搭載されないが、新型シビックが標準装備する運転支援技術「Honda SENSING」は大幅に機能を向上させた。
ベテランドライバーが運転するかのように追従制御
ホンダ各モデルにはHonda SENSINGが搭載されるが、新型シビックでは光学式単眼カメラセンサーからの情報を、従来のHonda SENSINGよりもきめ細かく分析し、車両の制御に落とし込んでいる。
具体的には、前走車が4輪車であるのか、2輪車であるのか、さらにはトラックなのかを正確に認識することが可能になり、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能の前走車への追従制御では、ベテランドライバーが運転しているかのようなスムーズなアクセル&ブレーキ操作が行われる。
快適な運転操作をアシストする、車線間の中央を維持するようにステアリング操作を支援するシステム「LKAS」も進化。路面の車線区分線の認識能力が向上し、片側擦れていたり、道路工事でパイロンが連続して置かれていたりしても、それらをしっかり捉えて制御を継続する。
高速道路などでの運転支援機能「トラフィックジャムアシスト」のうち、ステアリング操作支援の作動範囲が広がった。従来は65㎞/h以上でステアリングの操作支援が作動していたが、新型シビックでは0㎞/hから作動。これにより、たとえば20㎞/h程度のノロノロ渋滞時であっても、LKASのアシストを受けながら走行することが可能になった。このように、新型シビックのHonda SENSINGでは、わかりやすくシステムに対する信頼感が増している。
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