11代目シビック、乗ってわかった319万円超の価値 運転支援などの装備や走りはどれだけ充実したか

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そのHonda SENSINGに各種機能が加わり、「Honda SENSING 360」へと進化することが10月13日に公表された。

5つのミリ波レーダーと光学式単眼カメラ、そして8つの超音波ソナーによって自車周囲360度にわたる検知能力を誇り、これまでサポートしてこなかった事故多発シーンでも、事故低減効果が望めるという。これに関しては追って、取材レポートをお届けしたい。

新型シビックでは肝心の走行性能、とりわけ乗り心地が進化した。これは後席でも同様で、カーブ走行時でもロールや振動が少ない。そして走行時の車内はハイブリッドモデル並みに静かだ。

「サスペンションのチューニングとして、前輪の液封コンプライアンスブッシュの設定を見直し、後輪ではブッシュ容量を向上させたことで、タイヤが大きく素早い入力を受けた際、しなやかに受け止める能力が高まりました」(新型シビックの走行性能を担当する技術者)。

この言葉通り、路面の状況が急に悪くなったり、大きなくぼみを通過したりする道路環境では、強化されたボディとそれを受け止める足回りによって、身体に伝わる衝撃がずいぶんと小さい。残るわずかな衝撃も角がとれ、しかも多くが一発で収束するのでドライバーの目線がぶれない。がっつり受け止めて、しなやかに受け流す、そんなイメージだ。

6速MTモデルの購入比率が高い

昨今の日本では2ペダルのAT/CVTモデルの普及率が99%といわれるなか、新型シビックの初期購入者のうち35.1%(受注3000台として1053台)が6速MTモデルを選んだ。従来型にも6速MTの設定はあり、こちらでも購入比率が高かった。シビックに操る楽しみを求めるユーザーは多い。

設計を見直した6速MT(筆者撮影)

従来型から設計を見直したマニュアルトランスミッション(MT)のシフトフィールは群を抜く。筆者の愛車であるマツダ「MAZDAロードスター」(現行のND型)もMTだが、それに近い好感触を抱いた。

ただ、1.5Lターボエンジンとの相性がやや悪い。ここが惜しい。正確には、エンジンの回転落ちが遅く、シフトダウン操作に対してエンジンの回転落ちを待つ、そんなシーンが多いからだ。

じつはこの症状、従来型のMTモデルから引き継ぐ弱点だ。新型の“待ち時間”は従来型の半分程度にまで減ったものの、シフト(前後)方向、セレクト(左右)方向ともに気持ちよい6速MTに加えて、適度なエンジンパワーと、爽快な動きを示す新型シビックを前にすると、やはり残念でならない。

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