独自集計「47都道府県トップ3企業」ランキング 埼玉vs千葉、所在企業から見る「県力」の違い

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埼玉県は1位が自動車部品のマレリ(売上高1兆3655億円)、2位のしまむら(同5435億円)、3位がヤオコー(同5078億円)と続く。

KKRに買収されたマレリ(旧カルソニックカンセイ)が埼玉の首位に(撮影:鈴木紳平)

マレリはかつてカルソニックカンセイという社名で、日産自動車系の一次サプライヤーだった。2016~2017年に投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に買収され、2018年にイタリアの同業マニエッティ・マレリと経営統合。社名をマレリに変えて現在に至る。

マレリのほかにもホンダの寄居(よりい)工場やUDトラックス(旧日産ディーゼル)の本社工場など、土地の広さと他県への交通アクセスの良さから、自動車産業が集積しているのが特徴だ。

また都心に近いベッドタウンという性格もあり、大衆向けの衣料品や生活雑貨で強い企業が生まれやすい。その象徴がアパレル大手のしまむらである。ちなみに、しまむらもヤオコーも埼玉県中部の小川町という小さな町で創業している。

一方、千葉県の有力企業といえば、流通大手のイオンが圧倒的な存在感を誇る。2位は松戸市発祥のマツモトキヨシホールディングス。ほかにも「東京ディズニーリゾート」を展開するオリエンタルランドなどが代表格だ。

だが、マツキヨはココカラファインとの経営統合(10月1日からマツキヨココカラ&カンパニー)で都内に本社を移したため、次年度以降は不透明に。オリエンタルランドはコロナ禍が直撃し、2022年版ではランキングの圏外に。替わってトップ3に入ったのはキッコーマンだ。

千葉県は歴史的に醤油の一大産地として知られており、野田市にキッコーマン、銚子市にヤマサ醤油とヒゲタ醤油という大手メーカーが本拠地を置いている。こうした調味料メーカーは巣ごもり特需の恩恵もあり、コロナ禍でも業績は底堅い。

似通ったイメージで捉えられがちな千葉県と埼玉県といっても、本社を置く企業の構造はこんなにも違いがあるのだ。

群馬と栃木は、企業規模に差

同じく関東地方でライバル県と見られているのが群馬県と栃木県である。群馬も栃木も大手メーカーの工場が集積し、製造業が強い点はあまり変わらない。

一方、本社を置く企業で見ると、両県の差が明確だ。群馬県には独自色豊かな大手企業がそろっている。1位にヤマダホールディングスと2位にベイシアグループと売上高1兆円超えの巨大流通グループ2社が立地する。ヤマダホールディングスは、家電量販店のヤマダ電機を主体に、最近では住宅中堅のヒノキヤグループを買収するなど、“暮らしまるごと”戦略で成長を続ける。

ベイシアグループは、傘下にショッピングセンター「ベイシア」やホームセンター最大手の「カインズ」、人気の衣料品チェーン「ワークマン」などを擁し、現在、最も波に乗っている流通グループと言ってよい。

一方の栃木県は、首位がキヤノンメディカルシステムズ(売上高2871億円)、2位がカワチ薬品(同2844億円)、3位がコジマ(同2822億円)と、企業の規模としては群馬県に見劣りする。なお、キヤノンメディカルシステムズは2016年に東芝傘下からキヤノン子会社となった医療機器メーカーで、コジマも2012年にビックカメラの傘下に入っている。

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