安河内:私は、も うどっちでも苦労しました。今では大学で英語で授業をするというのは当たり前かもしれないですけど、当時は、まだ断然、少なかったんです。そういう時代 で、授業を聞いても、まったく聞き取れなかったし、自分が授業中に当てられても答えられないし、もうやめてしまいたいくらい嫌になった時期があったんです よ。そういうのはなかったですか?
英語なんてやめてしまいたい
斉藤:聞いてもわからないというのは当然ありましたし、当時はうちの学科には英語の授業で「ええっと」と言ってしまうと罰金を取るような先生がいたりとか。そういう意味で苦労はしましたね。
安河内:私たちの頃って、TOEFL PBT(Paper-Based Test)をよく受けさせられたじゃないですか。受験慣れした人はTOEFL PBTでも点数は取れるのですが、しゃべれないんですよ、全然。私は2年生の夏にアメリカ旅行をしたのがきっかけで、ちょっとしゃべれるようになったんですけど、斉藤先生は英語を口から出すという、この“話すブレークスルー”というのは、学部在学中にはどこでやってきたんですか? それとも最初からそこには抵抗がなかったとか。
斉藤:そうですねぇ……、話すということで振り返ると、中学2年生のときにおじの家にホームステイの大学生が来て、それで流暢じゃなくても、とりあえずなんとか当たって砕けろ路線で、いけるなぁっていう感覚はあったんですよね。ただ“当たって砕けろ”だったんですよ。言いたいことを正確に伝えるための英語力はないなぁっていう思いは、大学入学以降、毎日の経験の中で、悔しい思いはしましたよね。
安河内:私の場合は、なんというのかなぁ、帰国子女なんかの発音のいい人たちに混じっていると……、たとえば半分ずつに分かれてディスカッションをやるクラスがあったでしょ。
斉藤:English Skillsですね。
安河内:やっぱり発音のいい子が何人かいるんですよ。そういう子がわあっとしゃべると、自分の発音がすごく恥ずかしくなるんですよね。そういう経験ってなかったですか? ディスカッションでも発言できました?
斉藤:僕は変なシャイさはなかったんですよ。そのへんのサイコロジカルなバリアは、あんまり感じなかったかもしれないですね。
安河内:そうなんですか!
斉藤:ただ、中学校の英語の先生に徹底的に発音を仕込まれた経験があるのです。安河内先生がそこですごいハードルを抱えていたというのを聞くと、僕が比較的、英語はできないできないと思いつつも、それなりにやっていこうという気になれたのは、そもそも中学生のときに発音を教わっていたか教わっていなかったかという違いがあるかもしれないですね。
安河内:私は、発音が“ものすごく”できなかったのです。まったくダメだった。たとえば-th-を舌を出して発音するということすら、知らなかったんですよ。そのくらいのレベルで。
斉藤:それでも上智に入れちゃうんですよね。
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