高齢化時代には、結婚の条件も変わる! 定年後の再婚もいとわぬ熟年離婚か、添い遂げる伴侶か

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かすがいを失ってもなおカップルを維持する条件とは?

子どもが手を離れ、仕事の第一線を退いてから後が長くなった高齢化人生において、カップルを組み直す可能性は十分にありえることだ。そんな認識が共有されるようになったことは、一方で再婚市場を活気づけることになったし、他方では新婚市場における認識をも変えるようになった。

将来、子どもや仕事のようなかすがいを失ってもなお、カップルを維持する条件とは何だろう、その条件を具備した結婚をするためにはどうしたらいいんだろう、と。

たとえば、幸福な夫婦関係のために別居するという選択肢が盛んに報道されるようになった。夫の定年退職によって一緒に過ごす時間が突然増えることがストレスになるという話を契機に、夫婦は近くにいなければいけないという固定観念が問い直されるようになったわけだ。

今や、結婚したらハイそれで終わり、という時代じゃない。むしろ、結婚してからどうするかが問われる時代になっている。結婚がイベントじゃなくプロセスになっていると言ってもいい。

方向性は大きく分けて二つある。一つは、これまでのパートナー選びの基準、つまり職業や家柄を重視して最初の結婚をし、定年後の再婚もいとわない方向。もう一つは、一生添い遂げるという結婚イメージを重視して、定年後までを見越した新しいパートナー選びの基準をつくりあげる方向。

いずれにせよ、結婚観の大きな変容であることに違いはない。婚活とは単なる若者の遊戯的痴話ではなくて、高齢化社会における結婚観の見直しでもあるのだ。

 

「週刊東洋経済」8/9・16日合併号:親と子の相続

榛原 赤人
はいばら あかひと / Akahito Haibara

1988年生まれ。都内某大学院の社会科学分野博士課程に在籍。17歳の頃から結婚をめぐるもろもろに関心を持ち、婚活ブーム以降は、その思想的背景に注目して、机上での結婚探求を行っている。
 

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