10月8日の所信表明演説において、岸田首相は「分配戦略」と銘打って、企業の四半期開示の見直し、下請け取引に対する監督体制の強化、賃上げを行う企業への税制支援、子育て支援、看護・介護・保育などで働く人々の収入を増やす、あるいは財政単年度主義の弊害是正などを訴えた。が、いかんせん新味を感じさせるものではなかったようだ。
とはいえ、岸田内閣が景気を回復させ、株価を再び上昇に向かわせることは十分に可能なのではないか、と筆者は考えている。
自民党は大きくは負けず、第2次岸田内閣発足へ
まず、10月31日の総選挙では自民党は大きく負けないだろう。となれば、10日後くらいに特別国会が召集され、そこで第2次岸田内閣が発足する。真っ先に取りかかるのは補正予算である。出馬宣言の直後から、岸田氏は「数十兆円規模」という大胆な言い方をしてきた。これは事前に財務省と何らかの「調整」があったからだろう。だったら話は早い。
バイデン政権の「インフラ投資」予算は、議会の与野党対立の中でほとんど五里霧中であるが、議会制民主主義の日本では予算はちゃんと12月までに成立する。中小事業者や生活困窮者への給付金などが盛り込まれる見込みだ。
そして以前にも当欄で寄稿したように、日本経済には巨額の強制貯蓄がある (日本経済には36兆円もの埋蔵金が眠っている)。2020年度分で計算してみたところ、コロナ下で生じた「意図せざる貯蓄」は実に38.2兆円にもなった。このうち半分でも消費に回ってくれれば、それだけでブームを起こせるはずである。
もちろん年内にもコロナの第6波が到来するかもしれないし、中国経済の減速や資源価格の高止まりなど海外経済の影響を受けるおそれもある。ただし現下のマーケットの反応は、やや慎重になりすぎているのではないかと感じているところである(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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