「懲役と罰金の両方をヤミ金に課す併料は『利欲犯を犯したらこれだけ取られるので引き合わない』」《東京地検定例会見》

「懲役と罰金の両方をヤミ金に課す併料は『利欲犯を犯したらこれだけ取られるので引き合わない』」《東京地検定例会見》

東京地方検察庁が7月1日に開いた定例記者会見のテーマはヤミ金事件。大谷晃大(こうだい)刑事部長が懲役刑と罰金刑の両方を科す「併料」について解説した。東京地検の定例会見は、これまで全国紙などの記者クラブに限っていたが6月10日に雑誌社やフリーライターなどに初公開。定例会見の「公開」は今回で4回目となる。次回の5回目は7月5日に新特捜部長の就任会見を予定している。

   テーマ
 1回目 裁判員裁判制度の振り返り
 2回目 鈴木和宏検事正の就任会見
 3回目 振り込め詐欺
 4回目 ヤミ金事件の併料
 5回目 新特捜部長の就任会見(予定)

大谷刑事部長によると、出資法違反(業としての高金利)の法定刑は2003年の改正で、それまで「高金利の罪(業としての年29.2%、1日当たり0.08%超)」は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併料」だったのが、「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併料」に引き上げられた。

さらに06年改正では、「著しい高金利の罪(業としての年109.5%、1日当たり0.3%超)が新たに設けられ、「10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金またはその併料」とし、07年1月に施行された。大谷部長によれば、「『10年以下の懲役』は窃盗・詐欺・恐喝・業務上横領と同じだが、それらの罰金が50万円であることを考えると、『3000万円以下』は重い罰金」。06年改正のうち今年6月18日施行分では、「高金利の罪」の対象金利が年29.2%から年20%に引き下げられ、利息制限法と出資法の間にあったグレーゾーン金利がなくなった。

大谷部長は、ヤミ金への併料について、08年の2つの東京高裁判決を引き合いに出し、「悪質な者には懲役刑を科す。そうでない者には罰金刑ということだが、懲役と罰金の両方を課す併料は『利欲犯を犯したらこれだけ取られるので引き合わない』と感銘づけるもの」と解説した。08年3月27日の東京高裁判決は「出資法違反の罪に懲役刑と罰金刑が併料される場合における罰金刑の趣旨は、単に犯罪によって得た不正の利益を剥奪することにあるのではなく、この種の犯罪が経済的に引き合わないものであることを刑罰として強く感銘付けることにある」としている。

同年7月16日の東京高裁判決は、「出資法が制限利率を超える利息を受領するなどした者に、選択的に懲役刑のほか罰金刑を併料した趣旨は、その者から相応の金額を剥奪するとともに、不法利益の取得を目的とする上記違反行為が経済的に引き合わないことを、その行為をした者および世人に十分理解させることにあると解される」としている。 

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