「会社で働くしか稼ぐ手段がない」と思う人たちへ 知っておきたい資本家と労働者の関係
「資本家」が「労働者」から富を搾取する
佐藤優(以下、佐藤):ドイツの思想家マルクスはわかりますよね?
シマオ:マルクス……って、ソ連を造った人でしたっけ?
佐藤:違います。それはロシア革命を主導したレーニンですね。
シマオ:すみません……。
佐藤:いえ、シマオ君が混同するのもわかります。一般的にマルクスは共産主義・社会主義思想の祖として知られていますから。資本主義社会においては、資本家階級が労働者階級から富を搾取しているとして、それを是正するための階級闘争が必要であると説いた人物なんです。
シマオ:革命家、ということは何となく知っていましたが、正直少し危ないイメージでした。
佐藤:マルクスの思想に危ない側面があることは事実です。生まれたドイツ(当時はプロイセン王国)から追放され、フランスやイギリスを渡り歩きながら、執筆や運動を継続したマルクスを支えたのが盟友フリードリヒ・エンゲルスでした。そのマルクスの主著が有名な『資本論』です。
シマオ:あ、知っています!
佐藤:『資本論』の目的は、社会を変えるために、まず社会の構造となっている資本主義経済について解明することでした。
シマオ:『資本論』に関して、僕にもわかるようにもう少し説明してもらえますか? 資本主義社会に生きているのに、その仕組みをほとんど理解していないことに気づきました……。
佐藤:はい。簡単に説明しましょう。マルクスは、資本主義社会において人は、生産手段を持つ資本家(ブルジョワジー)と、その資本家の下で働く労働者(プロレタリアート)の2つに分かれると指摘しました。
シマオ:ブルジョワとプロレタリアート……。
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