豊かな人生を遠ざける「稼いだ金は自分に」の思考 何の目的もなくお金を貯めている人も要注意
お金はないよりあったほうがいい
シマオ:佐藤さん。実は僕の会社の業績がやばいことになっていて。周りがどんどん転職していくんです。
佐藤優(以下佐藤):大変ですね。
シマオ:能力ある人からどんどん辞めていってしまうので、焦って転職活動をしたんですけど、自分が希望した条件とまったく合わなくて。つまり、給料がかなり下がるんです。友人が自分より稼いでいると、うらやましいなあと思ってしまうし、少なからず敗北感を持ってしまうんですよね。これって何なんですかね?
佐藤:お金がないよりはあったほうがいいですからね。
シマオ:そうなんですよ。ものすごく稼ぎたいということじゃないけど、お金は欲しくて。そんなこと考えていくうちに、結局、僕にとっての「豊かな人生」って何なんだろうって思うようになったんです。
佐藤:なるほど。「豊かさ」とは何か……。「豊かさ」が何であるかを定義するのは、シマオ君の言う通り、とても難しいことです。個人によっても、社会によっても、何が豊かであるかについての感じ方は大きく異なるでしょう。資本主義社会において、お金が豊かさの尺度となるのはなぜだと思いますか?
シマオ:お金があれば何でも買うことができるからですよね。
佐藤:はい。資本主義というシステムの中では、金銭によって物質的な商品はもちろんのこと、「欲望」ですら容易に購入することができます。市場の自由化の原理においては「優しくされたい」「感動したい」「助けたい」という人間の欲望や感情を満足させるものが、商品化されていくのです。
シマオ:欲望を買う?
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