甲子園常連校が「休み」を重視する単純明快な理由

日大三高・野球部監督が説く今どきの子の指導

選手をやる気にさせ、気持ちを1つにまとめあげる方法を紹介します(写真:m.Taira/PIXTA)
甲子園の常連校・日大三高を率いる小倉全由監督。春夏を通じて甲子園出場通算21回(関東一高で4回、日大三高で17回)、甲子園通算勝利数37勝(歴代9位・いずれも2021年6月現在)を数える高校野球界有数の名将だ。「熱く」「一生懸命」の姿勢を生徒に植えつける指導が特徴で、根底にあるのは選手をほめて伸ばす「人を育てる」こと。「今どきの子ども」の指導に悩む人たちに向けて、彼らをやる気にさせ、気持ちを1つにまとめあげる方法を説いた同氏の新著『「一生懸命」の教え方』より一部抜粋しその秘訣を紹介する。

遠くの大きな目標より目の前の小さな目標

大きな目標をクリアするために必要なこと、それは「小さな目標を数多く作ってクリアし続けること」だと考えています。

選手が掲げる大きな目標と言えば、「甲子園に出場すること」ですが、たとえば2年生の新チームになってからこの目標を設定しているのであれば、はてしなく遠いものに感じてしまいます。

「1年なんてあっという間じゃないですか」とおっしゃる人もいるかもしれませんが、大人と高校生とでは、過ぎていく時間の速度が異なるように感じます。つまり、大人にとっては「たかだか1年」であっても、選手たちからしたら「かけがえのない1年」となるのです。

そこで私は、新チームになってからは、「1年後の甲子園」ではなく、身近な目標、例えば「来週の休養日」を励みにがんばらせるということをしています。

「休養日を与える」ことは、選手にとって非常に大きなことです。昔は「練習を1日休んでしまうと、その分を取り戻すのに3日かかってしまう」などと言われていました。けれども、このことを科学的な見地から誰かが研究したという話も聞いたことがありませんし、明確な根拠があるわけでもありません。すべては、昔の人たちの迷信にすぎないのです。

三高では現在、毎週月曜日を休養日に充てています。普段、どんなに厳しい練習をしていても、目の前に休みがあるからこそがんばれるのです。さらに言えば、決められた休養日以外のときにも、選手に休養日を与えることもあります。

例えば激しい練習を積み重ねてきて、明らかに疲れが見えているような場合です。こんなときに無理に練習をしてしまうと、大きなケガにつながってしまうことだって考えられます。

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