甲子園常連校が「休み」を重視する単純明快な理由 日大三高・野球部監督が説く今どきの子の指導
遠くの大きな目標より目の前の小さな目標
大きな目標をクリアするために必要なこと、それは「小さな目標を数多く作ってクリアし続けること」だと考えています。
選手が掲げる大きな目標と言えば、「甲子園に出場すること」ですが、たとえば2年生の新チームになってからこの目標を設定しているのであれば、はてしなく遠いものに感じてしまいます。
「1年なんてあっという間じゃないですか」とおっしゃる人もいるかもしれませんが、大人と高校生とでは、過ぎていく時間の速度が異なるように感じます。つまり、大人にとっては「たかだか1年」であっても、選手たちからしたら「かけがえのない1年」となるのです。
そこで私は、新チームになってからは、「1年後の甲子園」ではなく、身近な目標、例えば「来週の休養日」を励みにがんばらせるということをしています。
「休養日を与える」ことは、選手にとって非常に大きなことです。昔は「練習を1日休んでしまうと、その分を取り戻すのに3日かかってしまう」などと言われていました。けれども、このことを科学的な見地から誰かが研究したという話も聞いたことがありませんし、明確な根拠があるわけでもありません。すべては、昔の人たちの迷信にすぎないのです。
三高では現在、毎週月曜日を休養日に充てています。普段、どんなに厳しい練習をしていても、目の前に休みがあるからこそがんばれるのです。さらに言えば、決められた休養日以外のときにも、選手に休養日を与えることもあります。
例えば激しい練習を積み重ねてきて、明らかに疲れが見えているような場合です。こんなときに無理に練習をしてしまうと、大きなケガにつながってしまうことだって考えられます。
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