あなたが「高校数学」であっけなく脱落した根因 量も多く質も高い、「感覚的に中学の5倍」の重さ
K:あと、「中学までは数学ができた」という点でいえば、中学までの数学は計算すればできたとか、問題をその通り解けばできた気がします。
石原:中学数学でも、文字式や関数のグラフが出てきましたが、まだ問題文を読めば何をすればよいかがわかりました。けれども高校数学になると、だんだん「数学独特な言い回しの問題」や「思考力を問われる問題」が多くなってきます。
K:それに中学数学あたりまでは、教科書に載っている例題とテストの問題の差はそれほどなかったのですが、高校数学のテストはもうちんぷんかんぷん。
石原:そうですね。とくに教科書の例題と大学入試レベルの差はかなりありますね。
高校数学の重さは、感覚的に「中学数学の5倍」
K:「中学数学」と「高校数学」はちがうものというのはドロップアウトした時点でなんとなく感じて、それまであった数学に対する自信が折られるというか、そのショックも大きいと思うんですよね。自分では「できる」と思ってたことが、「できない」ということを自覚したというか。
石原:わかります。わたしも得意だったわけではないので。まず原因の1つは、同じ3年間でも高校数学は学習する量が多く、質も高く、スピードも速くなることです。
量でいうと高校数学の教科書の厚さは中学数学の2~3倍あります。しかも教科書の1ページに書かれている内容が高度なのでスラスラと読み進められません。したがって、感覚的な重さでいえば高校数学は中学数学の5倍くらいかもしれません。
中学までの数学が得意だと思っている生徒のなかには、勉強しなくてもできると思っていた生徒たちが一定数います。そういう生徒は、授業を聞いているだけで理解できていた。
しかし、それまでに何をすればよいのかストレートにはわからない問題に取り組むという経験がなかったから、高校数学になって何が起こっているのかわからないまま「おかしいな!?」という感じになっていくといえそうです。
K:その負のスパイラルは、自分がそうだったのでわかります。それにしても高校数学で学ぶ量は、中学数学の5倍くらいのイメージなんですね。
石原:あくまでイメージですが、それくらいで臨んだほうが、メンタル的にはいいかもしれないです。
K:数学で落ちこぼれる負のスパイラルとして、「できない自分が悪い」と思いがちということもあると思います。「がんばっているのにできない」という生徒は、やはりやり方が悪いのでしょうか? よくビジネス書にも書いてありますけど、努力する方向がちがうとか?
石原:そうです。「問題集をこれだけ解いたのにできるようになりません」という生徒がいます。しかし「この公式を使いなさい」と示されている問題を10回解いたとしても、「こうしなさい」といわれた問題しか当然解けないわけです。
問題自体が何をたずねているのかを理解しようとする練習を積めば、ほかの問題でも解けるようになります。しかし、「問題がたずねていること」をつかむ前に、やり方自体を覚えようとしてしまう生徒が多くて。簡単にいうと、解法を暗記しようとするという感じですかね。
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