家欲しい人は絶対知るべき「住宅ローン」重大盲点 勝間和代が教えるお金の上手なコントロール法

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私たちは、昇給したりボーナスが上がったりして収入が増えても、それを資産形成に使わない限り、何に使ったかわからない結果になりがちです。つまり、お金のほとんどを無意識に使っているということです。証券会社や銀行の定期預金に入っているものはなかなか使いませんが、普通預金に入っているものはついつい引き出して使っています。お財布の中に入っているお金は、いつの間にか雲散霧消してしまいます。

私は、仕事で消費者金融の研究をしたことがあるのですが、消費者金融の特徴は、20万円という与信枠を顧客に与えた場合、ほとんどの顧客がその与信枠ギリギリまで使うようになることです。

もともと消費者金融に行く段階でお金に困っているわけで、借りに行くまでに相当支出の我慢をしています。そこでお金を借りられると、借金ではなく、まるで20万円の貯金があるような感覚でお金を使い尽くしてしまう、ということでした。その錯覚は、まさに私たちがお金を意識的に使えず、無意識に使っている証しでしょう。

客単価が数万円の寿司店に行かないワケ

以前、堀江貴文さんが「寿司職人は半年で十分に育成できる」といった発言をSNSでしたところ、大きく叩かれたことがありました。理由は、お寿司の付加価値が激減してしまうからです。

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おおむね、私は堀江さんの意見に賛同しています。少なくとも、私はお寿司を食べに行くとき、個人経営で客単価が数万円もするお店に自ら選んで行くことはありません。生産性が低すぎて、その生産性に、私が苦労して得たお金を費やす気になれないからです。

いっぽうで、職人さんが握った数万円もするお寿司を食べるのはこのうえない贅沢で、心を満たしてくれる、と考える人もいます。これも前述した顕示的消費の一種で、私の目には、無意識に刷り込まれたステイタスに対するあこがれに導かれた行動に見えてしまいます。

今現在、自分の収入と支出のバランスが取れていて、十分な資産もあるのであれば、あえて自身の消費行動を疑う必要はないでしょう。そうではなくて、いつもお金が足りなくなる、資産形成が思うように積みあがっていない、という場合は、自分の消費行動を振り返って、目標を妨げる顕示的消費をしていないかを確認してください。

できれば、お金を使うときには、このお金は自分の目標を達成するためにどのくらい貢献しているか、というフィルターを通すようにするのがお勧めです。貢献度が高い使い方は自己投資になりますが、そうでなければ単なる消費です。できるだけ、自己投資的な使い方を増やすようにしましょう。

勝間 和代 経済評論家

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かつま かずよ / Kazuyo Katsuma

株式会社監査と分析取締役。中央大学ビジネススクール客員教授。1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『健康もマネーも人生100年シフト! 勝間式ロジカル不老長寿』(宝島社)、『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る!勝間式ネオ・ライフハック100』『自由もお金も手に入る! 勝間式超スローライフ』(以上、KADOKAWA)など(写真:疋田千里)

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