家欲しい人は絶対知るべき「住宅ローン」重大盲点 勝間和代が教えるお金の上手なコントロール法

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自分を特別な存在として認めてもらいたいと考える人は、洋服や食事に対してもスペシャル感を求める傾向がありますが、本人の中身がスペシャルであれば、食事も洋服もスペシャルである必要はないと思っています。

スペシャル感を求める傾向は、経済学用語で「顕示的消費」といいます。いわば、見せびらかすための消費で、飛行機に乗るときは、ビジネスクラスやファーストクラスを使いたがります。

そうした顕示的消費とは一線を画して、コスパがいい商品やサービスを中心にした消費行動にすると、決めた予算内で楽しみを追求できるようになります。むやみやたらに、ハイクラスのものを求める感覚がなくなって、値段が高いものがいいもの、という思い込みも消えます。

ただただ安いものを探すのでも、ただただハイクラスのものを探すのでもなく、自分が支払うお金に対するパフォーマンスが見合うものだけに使えるようになるのです。

私はことあるごとに、広告を見ることに注意を促していますが、広告されている商品というのは広告をしなければ売れない商品であるうえ、広告費が上乗せされた形で販売価格が決められているため、コスパがいいとは限らないからです。

生命保険はコスパが悪く、住宅ローンは高リスク

コスパが悪い典型例といえば、終身生命保険です。もともと生命保険は、私たちが早死しない限り損をする仕組みになっているのでそれなりに高く、終身は貯蓄分も加わるためダブルでコストが高くなってしまいます。

例えば子どもを1人で育てていて、十分な資産がなければ保険をかける必要があると思いますが、子供がすでに成人したら必要ありません。ガン保険や医療保険もコスパが悪く、先進医療を受けない限りは、国が補償する保険制度で十分カバーできます。どうしても不安であれば、最小限の保険に入ればいいと思います。

住宅の購入も、一般個人には過大な債務となるため、私はあまり勧めていません。どうしても買いたい場合は、その住宅が市場で競争力があるのか、すなわち、賃貸に回したときにすんなり借り手がつくか、ということを判断基準にするといいでしょう。ただし、住宅ローンは非常にリスクの高い行為であることを自覚してください。

なぜ住宅ローンのリスクが高いかというと、買った住宅が値下がりをせず担保価値を保てることと、ローンを設計した時点の収入や返済計画が、その後数十年にわたって保てるとことを前提にしているからです。

かつて、住宅が値上がりし収入も右肩上がりの時代には、住宅の購入は悪い投資ではありませんでした。しかし、現在の日本は人口が減少していて、一等地を除いた住宅は値上がりする可能性が小さく、また、今後もコロナ禍のようなことが起きて収入が減る可能性があるため、非常にリスクが高いのです。

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