JR九州とJR北海道を分析する

上場は妥当か? 列車トラブルはなぜ続くのか?

このように、JR北海道も基金の運用益に頼る経営をしています。貸借対照表(2~3ページ)の「純資産の部」に、経営安定基金として6822億円が計上されていますね。利回りを計算しますと、5.0%となります。普通、このご時世に、これほど高い利回りで運用することはできません。この運用益は、補助金と同義です。JR九州と同様、これで赤字額をカバーしているというわけです。

もう少し業績を詳しく調べるために、セグメント情報(3ページ)を見てみましょう。鉄道事業を含む運輸業のセグメント利益は、15億円。ただし、これは基金運用益341億円と機構特別債券受取利息収益55億円を加味しての数字です。それらがなければ大赤字だということです。

最も多く利益を出しているのは不動産賃貸業で、その他はほとんど利益が出ていない状況です。

事故を繰り返さないために、内部統制強化を図れ

JR北海道は、JR九州よりも経営状態が悪いということが分かります。このように、十分に収益を確保できない状況は、鉄道運行の安全レベルの低下につながりますから、度重なる事故の原因の一つになっている可能性があります。

ただし、それだけが原因というわけではないでしょう。収益力が低いから安全性を維持できない、という言い訳は成り立ちません。事故や不祥事の原因は、詰まるところ経営問題であり、ガバナンスの問題でもあると思います。

JR北海道の鉄道事故は、2011年から急増しているという話があります。それから数年経っているにも関わらず、状況は変わっていません。このままではイメージの悪化は避けられず、旅客収入にもさらに影響する恐れがあります。

話題になっている北海道新幹線は、2016年3月以降、順次開業していく予定です。これによって、どれだけの収益アップが見込めるかは未知数ですが、赤字が増える可能性もあります。収益力強化とあわせて、経営やガバナンスの強化にも注力が必要なことは言うまでもありません。

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