JR九州とJR北海道を分析する

上場は妥当か? 列車トラブルはなぜ続くのか?

それでは鉄道事業の収益力を強化しようと考えても、非常に難しいでしょう。例えば、九州の私鉄大手である西日本鉄道は、売り上げの70%程度がバス事業で、鉄道事業は25%程度しかありません。九州では、多くの地域で鉄道よりバスの方が、需要が大きいのです。

整備新幹線を開業させて、不採算から脱却しようという思惑もあるでしょう。たしかに、東海道新幹線で大儲けしているJR東海は、売上高営業利益率が30%もあります。しかし、整備新幹線を開通させたとしても、九州で同じ水準の利益率を確保できるかどうかを考えると、まず不可能です。JR東日本や西日本はそれだけの収益率を上げていません。

私は年間100回以上、新幹線を利用しますが、九州新幹線に乗るといつも結構空いています。新幹線でJR九州が収益力を大きく上げるのはなかなか難しいと考えられます。

このようなJR九州の特殊な状況を考えますと、このまま上場していいのだろうかと私はすごく疑問に思います。今後の成り行きも、業績とともにきちんと見ておくことが大切です。

トラブル続きで鉄道事業が悪化したJR北海道

JR九州より業績が悪いのが、JR北海道です。近年、列車事故や不祥事などが立て続けに明るみに出ていますが、財務的にはどのような状況なのでしょうか。2014年3月期決算を詳しく見ていきましょう。

まずは損益計算書(1ページ)から業績を調べますと、営業収益は前の期から5.5%増の1894億円。このうち、鉄道事業による収入は2.5%減の670億円です。事故による列車の運休やダイヤの改正が主な原因です。

営業費用は7.2%増の2180億円。鉄道の修繕費や動力費、北海道新幹線の工事に関連する費用が増えたためです。そして営業利益は、マイナス237億円からマイナス286億円まで、赤字幅が拡大しました。

しかしながら、営業外損益として、経営安定基金運用収益が前の期より34.3%増の341億円。そして機構特別債券受取利息収益が55億円計上されていることで、経常利益は73億円から114億円まで増えています。

この機構特別債券受取利息収益というのは、何でしょうか。鉄道・運輸機構がJR北海道に無利子でおカネを貸し、それを原資に同機構が発行する特別債券を買います。この利子を、同機構がJR北海道に支払うのです。こちらも、安定基金と同じく、実質的な補助金です。

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