鉄道+バスで地方の「交通難民」を救えるか 有志の経営者が挑む、地域交通再生の試み
「鉄道が廃止されて栄えた町はありません」――。三陸鉄道の望月正彦社長はこう訴える。
利用者減にあえぐローカル線が廃止されると、代わって路線バスが沿線の“足”を担うことが多い。だが、バスは交通渋滞に巻きこまれると、停留所への到着が遅れてしまう。バスへの切り替えと同時に運賃が値上げされることもある。
次第にバスは利用されなくなり、運行本数が削減される。すると利便性が悪化して、さらに利用客が減るという悪循環に陥る。確かにこんな状況では、バスは鉄道にかなわないと思わされる。
運行の「見える化」への取り組み
だが、バスが無力かというと、決してそんなことはない。
埼玉県を地盤とするバス会社、イーグルバスがその代表例だ。同社は川越の観光地を結ぶ「小江戸巡回バス」で有名だが、2003年には路線バス事業に参入。大手バス会社の撤退後に引き継いだ日高―飯能線など4路線を運営し、利用者を増やしている。
7月15日に都内で開催された「NPO法人交通まちづくり戦略会議」のシンポジウムの席上で、イーグルバスの谷島賢社長がその取り組みについて語った。
路線バスへの参入当初、谷島社長が感じたのは、「バスが営業所を出発してしまうと、その後は定時運行しているのかどうかがわからない」という点だった。定時運行できるかどうかは運転士の勘と経験次第という状況では、改善もままならない。さっそく、運行の「見える化」を決断。さまざまなデータを収集した。
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